本文
平成30年7月豪雨災害を忘れない
三原市に甚大な被害をもたらした「平成30年7月豪雨災害」から5年を迎えます。
災害の記憶や教訓を風化させず,防災への意識を高めて,次の災害に備えるため,当時の被災概況や災害からの復旧状況の一部を紹介します。
もくじ
・三原市長メッセージ(平成30年7月豪雨災害から5年を迎えて)
三原市長メッセージ(平成30年7月豪雨災害から5年を迎えて)
三原市に甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨災害から5年を迎えます。
この災害では,21名の方のかけがえのない命が失われました。
また,住家被害や市内全域で断水が発生し,避難所での生活や不便な日常生活を送ることを余儀なくされました。
この災害で亡くなられた方々に対し,謹んで哀悼の意をささげますとともに,ご遺族や被災された皆さまに,心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
併せて,これまでの間,生活再建や災害からの復旧に懸命に取り組んでこられた市民,事業者及び関係団体の皆さまのご努力に感謝を申し上げます。
本市では,この災害からの復旧を最優先課題として,道路や河川,農地などの復旧工事を進め,本年6月に工事を完了いたしました。
引き続き,道路改良や法面対策,上下水道施設の整備など,公共施設の強靭化の取組を進めてまいります。
私たちは,この災害で多くのことを学びました。
避難することや正確な情報を伝えること,行政と地域,企業が力を合わせて災害に対応していくことの大切さを改めて感じました。
現在,各地域の自主防災組織の設立や活動を支援し,避難の呼び掛け体制の整備を進めています。
また,企業や防災に携わる団体の皆さまのご協力を得て,避難行動につながる情報発信,高齢者などに対する避難支援,緊急時の物資調達や給水活動など,さまざまな連携策の構築に取り組んでいます。
私たちは,この災害の教訓を生かしていかなければなりません。
全国各地では,毎年のように自然災害が発生しており,本市においても,大規模な災害が再び起きる可能性があります。
市民の皆さまにおかれましては,災害から命を守るため,身の回りの危険箇所をあらかじめ確認していただき,いざというときに適切な行動がとれるよう災害に備えていただきたいと思います。
今後もこの災害の教訓を生かし,ハード・ソフトの両面から防災・減災対策に取り組んでまいりますので,ご理解とご協力をお願いします。
令和5年7月5日
三原市長 岡田 吉弘
当時の気象状況
平成30年6月29日9時に日本の南で発生した台風第7号は,7月3日夜,対馬市付近を北北東へ進み,4日3時には萩市の北北西約140kmに達しました。台風は同日15時に日本海中部で温帯低気圧に変わりましたが,この低気圧からのびる梅雨前線が西日本に停滞し,また,暖かく湿った空気が流れ込んだため,広島県では6日昼過ぎから7日朝にかけて大雨となり,安芸太田町を除く22市町に大雨特別警報が発表されました。
3日0時から8日12時までの総降水量は,三原市小泉町甲原で492mm,三原市本郷で490.5mmを観測しました。また,期間中の最大1時間降水量は,本郷で56.5mmを観測しました。
(参照:広島地方気象台「平成30年7月3日から8日にかけての台風第7号と梅雨前線による大雨について」)
天気図と雨雲レーダー(7月6日18時00分)
※広島地方気象台提供
雨量データ(7月3日~7月8日)
市内観測局の雨量(総雨量上位6か所) ※広島県防災WEBデータを基に作成
本郷観測所の雨量経過 ※広島県防災WEBデータを基に作成
三原市で発生した被害
この大雨の影響により,市内で多数の被害が発生し,物流やライフラインにも大きな影響が出ました。
開設された避難所は45か所にのぼり,最大3,298人が避難しました。
人的被害
死者 21人(うち災害関連死13人)
負傷者 11人
住家被害
住家被害 1,865棟(令和2年4月28日時点)
※浸水害 1,561棟
※土砂災害 304棟
本郷町船木(左写真),木原(右写真)の様子
木原,本郷町,大和町の被害の様子【提供:株式会社MCAT】
道路・河川被害
○市管理道路被害 1,808か所
(復旧工事の実施箇所)
○市管理河川被害 1,002か所
(復旧工事の実施箇所)
○県管理河川 11河川
破堤発生:天井川,仏通寺川,菅川,梨和川,三次川,尾原川
越水発生:沼田川,椋梨川,御調川,徳良川,大草川,天井川,仏通寺川,梨和川
仏通寺川の破堤状況
河川・道路の状況【提供:株式会社MCAT】
ライフライン被害
○断水 7月7日時点で,市内全域(38,856戸)で断水が発生
※地域ごとに順次復旧し,7月30日に全戸復旧
○停電 7月7日時点で,約9,700戸で停電
※7月17日に全戸復旧
各地からの支援
ボランティアや個人,企業,団体,行政機関など多くの方々からのご支援をいただきながら,少しずつ元の生活を取り戻していきました。
ボランティアによる復旧支援活動
被災者を支援するため,三原市災害ボランティアセンターや木原サテライトが開設され,多くのボランティアの方々に復旧活動に参加していただきました。
当時の災害ボランティアセンター(南方コミュニティセンター)【提供:株式会社MCAT】
受付窓口 | ボランティア数 | 活動件数 |
---|---|---|
三原市災害ボランティアセンター(南方コミュニティセンター) | 7,179人 | 1,059件 |
木原サテライト(尾道市吉和公民館福地分館) | 3,011人 | 434件 |
三原市社会福祉協議会 久井地域センター | 141人 | 23件 |
三原市社会福祉協議会 大和地域センター | 172人 | 32件 |
三原市ボランティア・市民活動サポートセンター | 104人 | 23件 |
合計 | 10,607人 | 1,571件 |
※三原市社会福祉協議会「平成30年度事業報告」及び「平成31年度事業報告」による
【開設期間】
三原市災害ボランティアセンター:平成30年7月10日~12月1日
木原サテライト:平成30年7月13日~10月6日
寄附金や物資提供による支援
全国各地から寄附金による支援のほか,水や食料,生活必需品,復旧に必要な資機材など様々な物資提供による支援をいただきました。
内訳 | 件数 | 金額 |
---|---|---|
寄附金 | 150件 | 86,860,402円 |
見舞金 | 110件 | 30,864,715円 |
ふるさと納税 | 1,885件 | 41,150,962円 |
合計 | 2,145件 | 158,876,079円 |
※ふるさと納税は,埼玉県蓮田市及び神奈川県湯河原町へ代理寄附されたものを含みます。
県内外の自治体からの支援
協定締結自治体をはじめとして,多くの自治体から職員が派遣され,被災家屋の調査や罹災証明書交付業務など災害復旧事務に支援していただきました。
本郷生涯学習センターでの湯河原町からの災害応援等【提供:株式会社MCAT】
応急給水・入浴の支援
三原市内で長期間の断水が発生しましたが,自衛隊や海上保安部,他市町の水道局などのご協力により,応急給水や入浴の支援を実施していただきました。
海上保安部による給水支援【提供:株式会社MCAT】
自衛隊による応急給水【提供:株式会社MCAT】
大型船舶「はくおう」による自衛隊の入浴・洗濯等支援(尾道糸崎港)【提供:株式会社MCAT】
自衛隊による入浴施設の設営(北方コミュニティセンター)【提供:株式会社MCAT】
学校等の再開
発災後には,市内の学校,幼稚園,保育所,こども園が休校・休園となりましたが,7月12日から,徐々に再開していきました。
その一方で,本郷・大和地域など一部の地域では7月20日まで休校・休園を継続し,再開を待たず夏休みを迎えるところもありました。
7月12日深小学校の学校再開。登校する生徒と笑顔で出迎える校長先生【提供:株式会社MCAT】
災害からの復旧状況
災害発生後,三原市では災害からの復旧を最優先課題とし,4,000か所を超える道路や河川,農地などの復旧工事に取り組み,令和5年6月に工事を完了しました。
復旧工事件数(令和5年6月13日時点)
道路 1,808件
河川 1,002件
橋梁 16件
農地 493件
農林業用施設 1,134件
復旧工事の様子
市内各所で行われた復旧工事の一部について,その様子を紹介します。
木原(西福地)
西福地の災害発生前(左写真)と発生直後(右写真)の様子
復旧工事の着工前(左写真)と完了後(右写真) ※土砂等の撤去後に着工しています。
本郷町上北方(市道 本郷町日山地用倉線)
復旧工事の着工前(左写真)と完了後(右写真)
久井町羽倉(市道 久井町小学校線)
復旧工事の着工前(左写真)と完了後(右写真)
大和町椋梨(神田橋)
災害発生前の神田橋
災害発生直後の神田橋
復旧工事と工事完了の様子
水道復旧作業の様子【提供:株式会社MCAT】
沼田川水系の河川整備(県 沼田川河川激甚災害対策特別緊急事業)
平成30年7月豪雨災害を受けて,県管理河川の沼田川本川及び支川においては,原形復旧のみではなく,広島県による改良復旧(河川激甚災害対策特別緊急事業)が行われました。
各河川における河道の掘削や護岸のかさ上げ,築堤・堤の補強などを行い,平成30年7月豪雨相当の雨量に対する家屋浸水被害が防止できるよう,河川改修が行われました。
詳しくは次のリンクから広島県のHPへ
災害に備えて~大切な命を守るために~
集中豪雨や台風の多い時期を迎え,大切な命を守っていただくために,市民の皆さまのお一人お一人や地域の自主防災組織などで,災害に備えておくことが重要です。
平成30年7月豪雨災害から5年を迎え,市民の皆さまには改めて,防災の意識を高めていただくため,今一度,ご自分の災害への備えができているかを確認しておきましょう。
防災情報の入手手段の確認を!
適切な避難行動をとるためには,最新の情報を入手することが大切です。三原市からの避難情報は,FM 告知端末ラジオ,屋外スピーカー,FMみはら,ホームページ,メール,公式SNS,緊急速報メールなど,様々な手段でお伝えしますので,ご自分がどのように情報を入手するのかを,予め確認しておきましょう。
関連ページ:三原市からの防災情報の受け取り方
危険な場所の確認を!
洪水浸水想定区域や土砂災害(特別)警戒区域など,危険な場所にいる人は,避難情報が発令された時などは,早めに安全な場所に避難しなければいけません。
普段からハザードマップを確認し,いざというときの避難場所や避難経路について確認しておきましょう。
関連ページ:三原市のハザードマップ
非常用持出品・家庭内備蓄品のご準備を!
災害により,食料など物資が手に入らなくなったり,避難所での生活を余儀なくされることもあります。
物資が手に入らなくなったときのための家庭内備蓄品や,いざというときに避難所に持ち出せる非常用持出品を準備しておきましょう。備蓄をするときは,普段よく使う食材を多めに備え,使った分を買い足す「ローリングストック」が有効です。
関連ページ:できていますか災害への「備え」
地域で防災の備えを!~自主防災組織を中心に~
災害時に大きな力となるのが,「地域」の人たちです。近年の災害を検証する中で,住民が避難行動をとるきっかけとして,家族や顔見知りの人から「一緒に避難しよう」と声を掛けてもらうことが有効であると分かっています。
三原市では,こうした「呼び掛け避難」の実施や避難所の開設,地域単位での備蓄,危険場所の情報共有,防災訓練の実施などを行う「自主防災組織」の活動を推進しています。
お住まいの地域で自主防災組織を設立したい場合や,自主防災組織を設立しているけれども,どのような活動をしたらよいか分からない場合などは,危機管理課へご相談ください。
問い合わせ先:三原市危機管理課 地域防災係 0848-67-6165 (FAX:0848-67-6164)