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三浦教授インタビュー

記事ID:0003116 更新日:2014年2月17日更新

インタビュー~専門家から見た三原城~

三浦 正幸教授

 三浦教授

第1回三原城跡ウォークにも講師として来ていただいた、広島大学の三浦教授に三原城についてのお話をお聞きしました。

  三原城の特徴について教えてください。

 まずは、海に面した海城だということですね。瀬戸内海には海城がいっぱいあるんです。海城の定義は、城壁が直接海に面していることですが、それだけではなく海へ直接開いている城門があるというのが海城なんです。海城は、特に瀬戸内海が多く、高松城・今治城・宇和島城・赤穂城・三原城・萩城・小倉城・臼杵城・唐津城が日本を代表する海城と呼ばれていますが、その中でも、築城年代でいうと三原城がもっとも古いもののひとつになります。築城年代についてはいろんな説がありますが、遅くても慶長元年にはできていたと思います。ちょうど小早川隆景が隠居してきた年ですね。関が原の戦い以前に建てられているのは、三原城、高松城、臼杵城、宇和島城の4城くらいしかないので、トップクラスに古い海城といえます。
 そして、実際に海に直面していた城壁の長さでは、萩・唐津・三原が日本最長ですが、石垣が海から立ち上がっているのは三原だけなんですよ。
 もうひとつの特徴が、三原城は城壁が海に開けているだけではなく、城内に3カ所船入(港・波止場)があることです。南北には外堀・内堀があり、内堀は今でも水溜りが残っていますよね。実は、現在でも船入がまともに残っている所は、日本中探してもここにしかないんです。しかも、3カ所の船入を合わせた規模は日本最大です。なので、城内に確保した港の量でいうと、日本歴史至上最大と言えると思います。
 最後が、建っていた櫓の数です。三原城は、ほぼすべてが二重櫓でした。二重・三重櫓が30以上あるのは、どれくらいの大名家かというと、大体50万石越の超巨大大名家なんです。三原城の二重櫓の数は、なんと徳川の本家の江戸城を超えているんです。名古屋城も大阪城も越えていて、二重櫓の数では、日本屈指の超巨大城郭で、大体50万石~100万石級の城なんです。東を守る最重要な城として福島正則がこんなにたくさんの櫓を造ったんだと思います。広島藩の支城だといわれてますけど、実は、日本の大城郭なんです。なので、三原市はもっと自慢に思ってもいいんですよ。

三原城のおもしろいところ,注目して見てほしいところはありますか?

 櫓の数の多さや船入の大きさ、本当に海に直面した城壁だということです。あと、細かいことを言うと、天主台の角ですね。これは、小早川隆景が慶長元年から慶長3年の間に作ったもので、角が鈍角であることと、石垣から櫓台が出てないことが、古い時代の特徴なんです。この1596年から1598年の間の古い時代のものは、あまり残っていないんです。これが天主台だとしたら、天主台の真ん中に、天主閣を作ろうとしていたと思うんです。小早川隆景だったら天主閣を作る力もあったと思うので、きっともっと長生きしてたら、天主閣を建てていたと思います。
 また、石垣の作り方も特徴的です。三原城の石垣は水の中から直接立ち上がっているんです。一般的には、いぬばしりという土台を作ってその内側に石垣を造っていて、例えは、広島城の天主台はいぬばしりの内側の陸上に建ってるんです。だから、高さが15・16mの高石垣を、水の中から直接建てたのはきわめてすごい技術で、日本最初の例だと思います。関が原の戦い以前は、直接水の中から高石垣を建てる技術はなかったですから、関が原の戦い前に高石垣を水中から直接建てて現存している日本最古の例なんですよ。
 そして、この石垣が古いもうひとつの理由は、やせ石垣であることと角が算木積みになっていないからです。算木積みっていうのは、長い石を角に使って短い石と交互に積む手法です。

 やせ石垣算木積み

 この算木積みが完全に出来上がるのは、慶長10年(1605年)くらいなんですが、三原城の天主台にはまだ使われていないので、小早川が作っているであろう理由です。逆に言えば、ここ(舟入櫓)はきれいな算木積みになっているので、福島正則の時代なんですね。
 そして、やせ石垣というのは、短い石がやせているのが特長で、調べた例でいくと、天正の末から慶長の始めまでしか造られてないんです。大体1590年くらいから1600年くらいまでで無くなりますので、きわめて珍しいんです。多くの城は、関が原の戦いが終わってから早くて1601年、遅くても1602年に築城工事を始めるので、やせ石垣の時代は本当に珍しくて日本中探しても熊本城の一部・三原城の天主台・彦根城の本丸の太鼓櫓台・厳島神社の千畳閣の下くらいしかないんです。

 今でも実際に見ることができますか?


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