○三原市消防本部火災予防違反処理規程

平成17年3月22日

消防本部訓令第15号

目次

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 違反処理(第3条―第23条)

第3章 関係行政機関との連携(第24条)

第4章 雑則(第25条・第26条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)及び三原市火災予防条例(平成17年三原市条例第264号。以下「条例」という。)に関する違反(以下「違反」という。)の処理に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 違反処理 違反が認められる事項について、警告、命令、認定の取消し、許可の取消し若しくは告発により是正し、又は過料事件の通知、代執行、略式の代執行の発動を持って違反を是正するための必要な行政措置を講じることをいう。

(2) 警告 違反が認められる事項について、違反の是正又は火災危険の排除を促す意思表示をいう。

(3) 命令 法の命令規定により、強制的に違反の是正又は火災危険の排除を促す意思表示をいう。

(4) 認定の取消し 法第8条の2の3第6項に規定するものをいう。

(5) 許可の取消し 法第12条の2第1項に規定するものをいう。

(6) 告発 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項の規定により、違反事実を捜査機関に申告し、違反者の訴追を求めることをいう。

(7) 過料事件の通知 法第8条の2の3第5項の規定に違反した者を、その者の管轄する地方裁判所に通知することをいう。

(8) 代執行 行政代執行法(昭和23年法律第43号)第2条の定めるところによる。

(9) 略式の代執行 法第3条第2項又は法第5条の3第2項の規定により、法第3条第1項第3号又は第4号に掲げる措置をとることをいう。

第2章 違反処理

(違反処理の主体)

第3条 違反処理は、消防長が行う。

2 法第3条第1項又は法第5条の3第1項の規定による措置命令は、消防長以外の消防吏員がこれを行うことができる。この場合において、当該消防吏員は、速やかに、その結果を消防長に報告しなければならない。

(違反処理の区分)

第4条 違反処理は、次に掲げる区分とする。

(1) 警告

(2) 命令

(3) 認定の取消し、又は許可の取消し

(4) 告発

(5) 過料事件の通知

(6) 代執行

(7) 略式の代執行

(違反処理上の留意事項)

第5条 違反処理は、次に掲げる事項に留意して行われなければならない。違反処理は、その実態を的確に把握するとともに、厳正かつ公平に時機を失することなく行うこと。

(1) 違反処理を行うに当たっては、緊急の場合を除き、関係者に対し、その内容を十分説明し、適切な指導を行うこと。

(2) 違反処理を行った事案については、追跡調査を行い、違反の是正促進に努めること。

(違反処理基準)

第6条 違反処理は、別表に定める違反処理基準により、行うものとする。ただし、違反の事実が明白で、かつ、当該違反事項が火災予防上若しくは人命の安全上猶予できないと認める場合、又は特異な違反事案の処理に係る場合は、違反処理基準によらないことができる。

(違反の調査等)

第7条 消防職員(以下「職員」という。)は、職務の遂行に際し違反の事実を発見し、又は聞知したときは、速やかに消防長に報告しなければならない。

2 前項の規定のよる報告を受けた消防長は、職員に命じて違反の事実に当たらせるものとする。ただし、立入検査により違反の事実が明らかなときは、調査を省略することができる。

3 前項の規定による調査を命じられた職員は、調査した結果を違反調査報告書(様式第1号又は様式第1号の2)により消防長に報告しなければならない。

4 消防長は、前項の報告により違反処理の必要があると認めた場合は、前条の規定による違反処理基準に従って処理をしなければならない。

(実況見分調書)

第8条 職員は、次の各号のいずれかに該当するときは、実況見分調書(様式第2号)を作成するものとする。

(1) 違反の事実を明らかにする場合又は違反に係る証拠保全のため必要な場合

(2) 前号に掲げるもののほか、特に必要があると認める場合

(質問調書)

第9条 職員は、違反の調査に際し、関係者等に対し質問を行った場合は、質問調書(様式第3号)を作成し、記録しておかなければならない。

(警告)

第10条 警告は、次の各号のいずれかに該当する場合に行うものとする。

(1) 立入検査等により違反の是正を指示したにもかかわらず、当該違反が是正されていないとき。

(2) 違反の内容の実態から火災予防上必要があると認める場合

2 前項の警告は、違反行為者等に対し、警告書(様式第4号又は様式第4号の2)を交付するものとする。

3 違反等の事実が明白で、かつ、当該違反事項が火災予防上又は人命の安全上猶予できないと認める場合で、前項の警告書を交付する暇のないときは、前項の規定にかかわらず、違反者等に対し、口頭で必要な事項を告知し、警告することができる。この場合は、速やかに警告書を交付するものとする。

(命令)

第11条 命令は、次に該当する場合に行うものとする。

(1) 警告書による履行期限が経過しても、なお履行されていない場合

(2) 火災危険のおそれがあり、緊急に違反の是正その他の措置を講ずる必要があると認められる場合

2 前項の命令は、違反者等に対し、命令書(様式第5号又は様式第5号の2)を交付して行う。

3 違反等の事実が明白で、かつ、当該違反事項が火災予防上又は人命の安全上猶予できないと認める場合で、前項の命令書を交付する暇のないときは、前項の規定にかかわらず、違反者等に対し、口頭で必要な事項を告知し、命令することができる。この場合は、速やかに命令書を交付するものとする。

(公示)

第12条 消防長は、法第5条第1項、第5条の2第1項、第5条の3第1項、第8条第3項及び第4項、第8条の2第3項、第11条の5第1項及び第2項、法第12条第2項、法第12条の2第1項及び第2項、法第12条の3第1項、法第13条の24第1項、法第14条の2第3項、法第16条の3第3項及び第4項、法第16条の6第1項並びに法第17条の4第1項の規定による命令を行った場合は、当該命令に係る防火対象物又は危険物製造所等のある場所に標識(三原市火災予防規則(平成17年三原市規則第208号)又は三原市危険物取締規則(平成17年三原市規則第209号)に定めるところによる。)設置及び三原市庁舎(支所を含む。)への掲示並びに消防本部に掲示することにより、その旨を公示するものとする。

2 前項の規定による公示は、速やかに行い、当該命令の履行又は解除がなされるまでの間、その状態を維持するものとする。

(命令の解除)

第13条 消防長は、命令事項が履行された場合、又は違反内容の一部が是正され、若しくは代替措置等が講じられた場合で命令を解除する必要があると認められるときは、速やかに、違反行為者に対し命令解除通知書(様式第6号又は様式第6号の2)を交付し、命令を解除するものとする。

(特例認定等の取消し)

第14条 消防長は、特例認定の取消し又は許可の取消しの決定をしたときは、当該関係者に特例認定取消書(様式第7号)、許可取消書(様式第7号の2)の交付をするものとする。

(聴聞)

第15条 次の各号に掲げる不利益処分をしようとする場合には、行政手続法(平成5年法律第88号)の定めによるところにより、聴聞を行わなければならない。ただし、同法第13条第2項に該当する場合は、この限りでない。

(1) 法第8条の2の3第6項の規定による特例認定の取消し

(2) 法第12条の2第1項の規定による許可の取消し

(3) 法第13条の24の規定に基づく命令

2 前項の聴聞に関する手続は、行政手続法によるほか、三原市聴聞等規則(平成17年三原市規則第19号)によるものとする。

(弁明の機会の付与が必要な不利益処分)

第16条 次に掲げる不利益処分をしようとする場合には、行政手続法の定めにより、弁明の機会を付与しなければならない。ただし、同法第13条第2項に該当する場合は、この限りでない。

(1) 法第5条第1項の規定による命令

(2) 法第5条の2第1項の規定による命令

(3) 法第5条の3第1項の規定による命令

(4) 法第8条第4項の規定による命令

(5) 法第12条の2第1項又は第2項の規定による命令

(6) 法第14条の2第3項の規定による命令

2 前条第2項の規定は、前項の弁明の機会の付与に関する手続について準用する。

(告発)

第17条 告発は、次に該当する場合で消防長が罰則をもって対応すべきであると認めるとき、行うものとする。

(1) 違反の内容が重大なとき。

(2) 違反に起因して火災等が発生し、若しくは拡大し、又は死傷者が発生したとき。

(3) 前2号に掲げるもののほか、告発を以って措置すべき情状が認められるとき。

(告発の手続)

第18条 告発は、違反の生じた場所を管轄する警察署長又は検察官に対して告発書(様式第8号)により行うものとする。

2 前項の告発書に、次に掲げるもののうち当該違反に必要な書類を添付して行うものとする。

(1) 査察関係書類等の写し

(2) 火災調査関係書類等の写し

(3) 警告書、命令書等の写し

(4) 違反現場の図面及び写真

(5) 前各号に掲げるもののほか、特に必要と認められる資料

(過料事件の通知)

第19条 消防長は、法第8条の2の3第5項の規定による届出を怠った事案を覚知し、過料をもって対応すべきであると認める場合は、届出を怠った者の住所を管轄する地方裁判所に過料事件通知書(様式第9号)により、次の書類を添付し通知するものとする。

(1) 特例認定防火対象物の管理権限者であったことを証する資料

(2) 特例認定防火対象物の管理権限者に変更があったことを証する資料

(3) 過料に処せられるべき者の住所を証する資料

(代執行)

第20条 消防長は、第13条の規定による命令又は第17条の規定による告発によってもなお違反が是正されない場合で特に必要があると認めるときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところにより、代執行を行うものとする。

2 消防長は、代執行を行おうとするときは、事前に執行に伴う作業、警戒、経費等の計画を立てなければならない。

3 代執行に係る戒告、通知及び執行責任者の証票並びに費用徴収のための書類は、次のとおりとする。

(1) 戒告書(様式第10号)

(2) 代執行令書(様式第11号)

(3) 代執行執行責任者証(様式第12号)

(4) 代執行費用納付命令書(様式第13号)

(略式の代執行)

第21条 消防長は、法第3条第1項又は第5条の3第1項の命令に係る履行義務者を確知することができないために当該命令を発することができない場合は、法第3条第2項又は第5条の3第2項の規定に基づき、消防職員に法第3条第1項第3号及び第4号に掲げる措置をとらせるものとする。

(教示)

第22条 命令書、特例認定取消書、許可取消書、戒告書、代執行令書及び代執行費用納付命令書を交付する場合は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第82条第1項及び第2項に定める教示をしなければならない。

(送達)

第23条 この訓令に定める警告書、命令書、特例認定取消書、許可取消書、戒告書、代執行令書及び代執行費用納付命令書(以下「警告書等」という。)を発行するときは、原則として、当該関係者に直接交付し、受領書(様式第14号)に署名押印を求めるものとする。

2 前項の警告書等の受領を拒否した場合、その他必要あるときは、配達証明、内容証明の取扱いにより郵送するものとする。ただし、被送達者の住所が不明な場合は、公告するものとする。

第3章 関係行政機関との連携

(関係機関との連携)

第24条 消防長は、立入検査において指摘した他法令の防火に関する規定の違反については、主管行政庁に通知し、是正促進を要請するとともに、十分な連携を図り、その改善に努めるものとする。

2 消防長は、他法令違反が存する対象物の違反是正措置等を講じる場合には、関係機関と十分な情報提供及び連絡調整を行うとともに、自ら違反事実の把握に努め、ほかに手段がない場合に、他の関係官公署の事務に支障がないように配慮しつつ、法第35条の10の規定に基づく照会を行うなど、適切な措置を講じるよう相互の連携に努めるものとする。

3 消防長は、違反処理につき関係機関より協力を求められたときは、必要に応じ協力するものとする。

第4章 雑則

(違反処理の経過)

第25条 消防長は、違反処理を行った場合は、その経過を違反処理経過簿(様式第15号又は様式第15号の2)に記録し、その結果を明らかにしておかなければならない。

(その他)

第26条 この訓令で定めるもののほか、必要な事項は、消防長が別に定める。

この訓令は、平成17年3月22日から施行する。

(平成17年7月1日消本訓令第35号)

この訓令は、平成17年7月1日から施行する。

(平成28年3月18日消本訓令第3号)

(施行期日)

1 この訓令は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の施行の日(平成28年4月1日)から施行する。

(経過措置)

2 この訓令の施行の際、第1条の規定による改正前の三原市火災予防査察規程、第2条の規定による改正前の三原市消防本部火災予防違反処理規程、第3条の規定による改正前の三原市消防本部防火対象物定期点検報告等に関する事務処理規程及び第4条の規定による改正前の三原市消防本部防災管理定期点検報告等に関する事務処理規程に規定する様式による用紙で、現に残存するものは、当分の間、所要の修正を加え、なお使用することができる。

別表(第6条関係)

違反処理基準(防火対象物関係)

違反処理基準は、違反処理を厳正公平に実施するために、違反者等に対する警告、命令、認定の取消しへの移行基準及び履行期限の判断について具体的事例を挙げて示したものである。

なお、適用要件への該当性や履行期限の設定等については、下記を参考にしつつ、具体的な事例に応じ適切に判断すること。

違反事実

適用要件

一次措置

適用要件

二次措置

適用要件

三次措置

事例/履行期限等

① 屋外における火災予防に危険な行為等

次の行為又は物件で火災の予防に危険であると認めるもの又は消火、避難その他の消防の活動の支障になると認めるもの

1 火遊び、喫煙、たき火、火を使用する設備若しくは器具(物件に限る。)又はその使用に際し火災の発生のおそれのある設備若しくは器具(物件に限る。)の使用その他これらに類する行為

禁止、停止若しくは制限又は消火の準備(法第3条)

 

 

 

 

【事例】

(行為の禁止及び危険物の除去)

○ 火花を発する行為を、可燃性蒸気(ペーパー)が発生又は滞留している場所(塗装工場、自動車修理工場、ゴム工場等の屋外、新築工事中の建物の敷地内等)で行っているもの

(禁止及び消火の準備)

○ 工事現場等で、不燃シート等で建築物の木(造)部分を養生せずに火花を発する行為を行っているもの

(たき火の禁止)

○ たき火の炎が木造家屋の壁体等に接し、その部分が炭化しているもの

注 たき火の禁止を命じる「炭化」の判断について

ア 炭化部分の剥離、灰化し始めた状態

イ 継続的なたき火による炭化

(行為の禁止及び消火の準備)

○ 危険物又は可燃物の付近で花火をしているもの

【履行期限】 原則、即時

2 残火、取灰又は火粉

残火、取灰又は火粉の始末(法第3条)

 

 

 

 

【事例】

(残の始末)

○ 神社の境内において実施したどんど焼き後、後始末が不完全のまま行為者がその場を離れたもの

【履行期限】 原則、直ちに残火、取灰又は火粉の始末をすることを命じる。

3 危険物又は放置され、若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件

物件の除去その他の処理(法第3条)

 

 

 

 

【事例】

(危険物の除去)

○ 屋外において、オートバイ(廃車)のタンクからガソリンが漏れペーパーが発生しているもの

(物件の除去)

○ 焼却炉に接して可燃物が大量に放置されているもの

【履行期限】 原則、即時

4 放置され、又はみだりに存置された物件

物件の整理又は除去(法第3条)

 

 

 

 

【事例】

(物件の除去、整理)

○ 避難器具が設置されている建物において、避難空地から道路等に通ずる避難通路が通行不能となる物件が存置されている場合

○ 敷地内の店舗出入口前に置かれた避難上通行不能となる大量の物品の放置

【履行期限】 原則、即時

② 防火対象物における火災予防に危険な行為等(その1)

防火対象物の位置、構造、設備又は管理について次の状況が認められるもの

1 火災の予防に危険であると認める場合

警告

警告事項不履行のもの

改修、移転、除去、工事の停止又は中止その他の必要な措置命令(法第5条)

二次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

【事例】

(改修命令)

○ 厨房設備等の燃料配管に老化、劣化又は接続部のゆるみがあり、燃料漏れのおそれがあるもの

○ 変電室等を区画している壁、柱、床又は天井が可燃材で造られているもの

○ 配分電盤の開閉器、配線用遮断器、電線、機器等の絶縁不良、漏電又は異常過熱等があるもの

○ ネオン管灯設備の高電圧部分が漏電しており、周囲の可燃材に着火危険のあるもの

○ 厨房設備の排気用ダクトに自動消火装置の設置義務があるが、設置されておらず、かつ、油が滴り落ちているもの

(工事の停止又は中止命令)

○ 塗装工事中(シンナー使用)において溶接作業を行っているもので、法第5条の3に基づく吏員の措置命令に従わないもの

【履行期限】

・ 改修、移転、除去その他必要な措置を行うために必要な合理的な期間とする。

・ 工事の停止又は中止は、直ちに行うことを命じる。

2 消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める場合

警告

警告事項不履行のもの

改修、移転、除去、その他の必要な措置命令(法第5条)

二次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

【事例】

○ 防火設備が設置されていないもの又は構造不適若しくは機能不良となっていいるもの

ア 竪穴区画に設けられた防火戸、防火シャッター若しくは防火ダンバー等が撤去され又は全く機能を失っているもの

イ 機能不良(自火報連動防火戸の連動不良、ドアチェックの取り外し)

ウ 鉄製の防火戸を木製等の扉に変更しているもの

エ 防火戸をボルト等で固定し閉鎖できないもの

○ 竪穴区画の壁が撤去され、若しくは破損しているもの

○ 配管貫通部等の埋め戻しが不完全なもの

○ 避難施設が設置されていないもの又は構造不適若しくは機能不良となっているもので、避難に重大な支障を来しているもの

ア 階段の出入口の防火シャッターが破損変形等により機能不良となっているもの

イ 階段室等を他目的に使用するため、改装その他構造等を変更して構造不適となったもの

ウ 階段の改変、破損又は腐食により構造耐力が保持されていないもの

エ 階段部分に扉等を設置し施錠することにより当該階段が通行不能となっているもの

オ 階段、出入口、廊下、通路等の避難上障害となる工作物が設置されているもの

注1 改修を伴わない管理についての措置を命じるものは、「⑤ 防火管理関係違反」で処理する。

注2 令別表第1(六)項に掲げる防火対象物等、使用停止命令によっては当該対象物の入院患者等に多大な負担を強いるおそれのあるものは、法第5条の除去命令が不履行の場合、使用停止命令でなく代執行を行う。

【履行期限】

改修、移転、除去その他必要な措置を行うために必要な合理的な期間とする。

3 火災が発生したならば人命に危険であると認める場合

警告

警告事項不履行のもの

改修、移転、除去、その他の必要な措置命令(法第5条)

二次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

【事例】

○ 防炎性能を有する防炎対象物品を使用していないもので、火災が発生した場合延焼拡大のおそれがあるもの。ただし、次に示すものについて適用除外とする。

ア スプリンクラー設備により有効に警戒されているもの

イ 内装、区画等から判断して延焼拡大危険が少ないと認められるもの

【履行期限】

改修、移転、除去その他必要な措置を行うために必要な合理的な期間とする。

4 その他火災予防上必要があると認める場合

警告

警告事項不履行のもの

改修、移転、除去、その他の必要な措置命令(法第5条)

二次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

 

③ 防火対象物における火災予防に危険な行為等(その2)

1 法第5条等の規定により必要な措置が命ぜられたにもかかわらず、その措置が履行されず、履行されても十分でなく、又はその措置の履行について期限が付されている場合にあっては、履行されても当該期限までに完了する見込みがないため、引き続き、火災の予防に危険であると認める場合、消火、避難その他の消防活動の支障になると認める場合又は火災が発生したならば人命に危険であると認める場合

使用禁止命令等(法第5条の2 第1項第1号)

 

 

 

 

【適用要件の意義】

事例については、法第5条第1項、第5条の3第1項第8条第3項第8条第4項第8条の2第3項第17条の4第1項の規定の事例欄によるが、これらの規定に基づいて必要な措置が命じられたにもかかわらず、次のa~cの場合で営業活動を継続、火気使用器具等の使用又は工事を継続している場合など火災予防危険、人命危険等が引き続き存する場合に措置する。

a 履行されない

避難障害となる物件の除去を命じたが、何も措置をしていないもの

b 履行が十分でない

複数の設備の改修命令に対して履行期限内に全ての設備についての改修が完了していないもの

c 履行期限までに完了していない

改修工事、消防用設備の設置工事の工事発注が完了しているが、未だ工事に着手しておらず、履行期限までに工事が完了する見込みがないもの

【履行期限】

原則、即時

2 法第5条等の規定による命令によっては、火災の予防の危険、消火、避難その他の消防の活動の支障又は火災が発生した場合における人命の危険を除去することができないと認める場合

使用禁止命令等(法第5条の2第1項第2号)

 

 

 

 

【事例】

○ 火気使用設備の使用に際して壁体等に炭化が広範囲に発生しており、その出火危険が著しく高いもの(炭化の判断は、木材等の可燃物であれば火、熱により変色しているもの)

○ 小規模雑居ビルで、次のアからウのいずれかに該当するもの

ア 階段内にビニール、プラスチック系の可燃物が大量にあり、上階の防火戸が撤去され、かつ、避難器具が設置されていないもの

イ 火気使用場所の存する階の防火戸が撤去され、かつ、当該階より上階で複数の無窓階の防火戸が撤去されているもの

ウ 利用者がエレベーターのみで移動する建物で、階段が重量物で塞がれ、かつ、避難器具等が設置されていないもの

【履行期限】

原則、即時

警告

警告事項不履行のもの

使用禁止命令等(法第5条の2第1項第2号)

 

 

【事例】

○ 次に掲げるいずれかの違反又は事実が併存していて消防活動の支障又は人命の危険が大きいもの

ア 防火管理業務が適正に行われていないと認められるもの

・ 厨房設備の燃料配管等に老化、劣化又は接続部のゆるみがあり、燃料漏れのおそれがあるもの

・ 排熱筒が木部に接近しており、継続使用すれば火災が発生するおそれがあるもの

・ 配分電盤の開閉器、配線用遮断器、電線、機器等の絶縁不良、漏電又は異常過熱等があるもの

・ 劇場・百貨店等において、催し物、大売り出し等により混雑が予想されるとき、避難誘導等に対応する係員が適正配置されていないもの

・ 定員を著しく超過しているにもかかわらず入場制限等の必要な措置を行っていないもの

(入場者の滞留により、避難経路から出入口に容易に到達できない場合等)

イ 防火対象物全般に設置義務のあるスプリンクラー設備(スプリンクラー設備の設置義務がないものは設置義務のある屋内消火栓設備及び自動火災報知設備)が大部分に設置されていないもの又はその機能を失っているもの

ウ 防火区画若しくは避難施設が設置されていないもの又はこれらのものが過半にわたり構造不適若しくは機能不良となっているもの

【履行期限】

原則、即時

注1 「機能を失っているもの」とは、機能不良の程度が著しく、ほとんど未設置と同様の状態にあるものをいう。

注2 「過半にわたり」とは、階ごとの過半又は防火対象物全体での過半をいう。

注3 火気使用設備自体の火災危険により、使用停止命令の措置を行う場合は、火災発生危険を考慮して、当該設備のみを使用停止の対象とする。

④ 防火対象物における火災予防に危険な行為等(その3)

次の行為又は物件で火災の予防に危険であると認めるもの又は消火、避難その他の消防の活動に支障となると認めるもの

1 火遊び、喫煙、たき火、火を使用する設備若しくは器具(物件に限る。)又はその使用に際し火災の発生のおそれのある設備若しくは器具(物件に限る。)の使用その他これらに類する行為

禁止、停止若しくは制限又は消火の準備(法第5条の3)

一次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

 

 

【事例】

(行為の禁止)

○ 防火対象物の塗装中(シンナー使用)において喫煙行為をしているもの

(物件の使用禁止)

○ 可燃性ガスが滞留する場所でガスコンロ等を使用しているもの

(行為の禁止)

○ 修繕工事を行うため、少量危険物取扱所等において、火花を発する機器を用いているもの

(物件の使用停止)

○ ガスコンロの炎が壁体に接し、その部分が炭化しているもの

【履行期限】

原則、即時

2 残火、取灰又は火粉

残火、取灰又は火粉の始末(法第5条の3)

一次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

 

 

【事例】

(残火の始末)

○ 炭火焼きを行う飲食店で、赤熱部が露出した炭を可燃物の直近に放置しているもの

【履行期限】

原則、即時

3 危険物又は放置され、若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件

物件の除去その他の処理(法第5条の3)

一次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

 

 

【事例】

(物件の除去)

○ 階段室、廊下、通路等避難施設内を倉庫又はクローゼット代わりに使用し、下記の物件のいずれかが存置されているもの

・ ガソリン、シンナー、火薬類等の危険物品

・ 大量な化繊の衣装

・ ボンベが装填された状態で大量の携帯コンロ又は大量のボンベ本体

・ 古新聞、ダンボール、ビールケース等の大量の可燃物

○ 使用中の火気使用設備の上方の棚にボンベが装填された状態の携帯コンロが存置されているもの

注 事例に該当しないが繰り返し違反等悪質性があるものは、「⑤ 防火管理関係違反」において処理する。

【履行期限】

原則、即時

4 放置され、若しくはみだりに存置された物件(上記3の物件を除く。)

物件の整理又は除去(法第5条の3)

一次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

 

 

【事例】

(物件の整理、除去)

○ 物件が存置されていることにより、一人でさえ通行することが困難なもの

注 事例に該当しないが繰り返し違反等悪質性があるものは、「⑤ 防火管理関係違反」において処理する。

【履行期限】

原則、即時

⑤ 防火管理関係違反(法第8条第1項違反及び法第17条の3の3違反)

1 防火管理者未選任

警告

警告事項不履行のもの

選任命令(法第8条第3項)

二次措置が不不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

注 防火管理者として届出されていないが、選任され実質的に防火管理業務が行われていることが明らかな場合は、違反処理の対象外とすることができる。

【履行期限】

2週間から1箇月程度を目安とするが、防火管理者講習を考慮しなければならない場合は、直近の講習日を考慮した期限とする。

2 防火管理業務不適正

消防計画未作成

警告

警告事項不履行のもの

作成命令(法第8条第4項)

二次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

【履行期限】

2週間以内

(防火管理者未選任と併存する場合には、防火管理者未選任の履行期限に2週間を加えた期間以内とする。)

消防計画が不適正なもの

警告

警告事項不履行のもの

適正執行命令(法第8条第4項)

二次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

【事例】

○ 自衛消防隊の編成等計画の内容が実態と著しく異なるもの

【履行期限】

2週間以内

(防火管理者未選任と併存する場合には、防火管理者未選任の履行期限に1週間を加えた期間以内とする。)

消火、通報及び避難訓練未実施

警告

警告事項不履行のもの

適正執行命令(法第8条第4項)

二次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

【事例】

○ 消火・避難訓練を1年以上実施していないもの

【履行期限】

1箇月以内(規模、用途に応じて設定する。)

消防用設備等の点検、整備未実施等

警告

警告事項不履行のもの

適正執行命令(法第8条第4項)

二次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

注 ベル停止、電源遮断、操作障害等の維持管理が不適切なもので、違反を指摘したにもかかわらず関係者が即是正の意思を示さないもの若しくは是正してもすぐに繰り返し違反を行う等悪質なものは、一次措置の適用要件とする。

【事例】

○ 法第17条の3の3に基づく消防用設備等の点検が未実施のもの

注1 点検により重大な機能不良箇所が指摘され、報告時までに是正されていない場合は、「⑧ 消防用設備等に関する基準違反」により処理する。

注2 自動火災報知設備、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備又は2種類以上の設備の点検未実施がある場合は、二次措置を行う。

【履行期限】

・点検未実施については、1箇月以内

・整備未実施については、整備内容により期限を設定する。

⑥ 共同防火管理協議事項未決定(法第8条の2)

共同防火管理協議事項未決定

警告

警告事項不履行のもの

決定命令(法第8条の2第3項)

二次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

注 消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)別表第1(五)項ロが過半のもので、防火管理業務が適正に行われているものを除く。

【履行期限】

防火対象物における各権原ごとの防火管理者の選任、消防計画の作成指導を踏まえて期限を設定する。

⑦ 定期点検報告(法第8条の2の2及び法第8条の2の3)

定期点検報告未実施での表示又は紛らわしい表示をしたもの

表示の除去又は消印を付すことの命令(法第8条の2の2第4項)

 

 

 

 

【事例】

○ 点検基準に適合せずに適合する旨の表示をしているもの

【履行期限】

原則、即時

1 偽りその他不正な手段により当該認定を受けたことが判明したもの

法第8条の2の3第1項による認定の取り消し(法第8条の2の3第6項)

 

 

 

 

【適用要件の意義】

形式的に適用要件に該当すれば、直ちに処理する。

【履行期限】

なし

2 法第5条第1項、第5条の2第1項、第5条の3第1項、第8条第3項若しくは第4項又は第17条の4第1項の規定の命令がされたもの

3 法第8条の2の3第1項第3号に該当しなくなったもの

⑧ 消防用設備等に関する基準違反(法第17条第1項)

消防用設備等が未設置又は維持管理が不適正のもの

警告

警告事項不履行のもの

設置命令、改修命令又は維持命令(法第17条の4第1項)

二次措置が不履行で、かつ、③の適用要件に該当する場合

③の一次措置による(法第5条の2)

【措置対象】

○ 技術基準に従って設置されていないと認めるもの

ア 全体に未設置

イ 一部未設置のうち、階又は対象物の過半にわたるもの

○ 技術基準に従って維持されていないと認めるもの

ア 自動火災報知設備の受信機が作動しないもの

イ 自動火災報知設備の感知器回路の断線等により防火対象物又は部分の全体にわたり未警戒となっている場合

ウ 一の階のすべての避難器具が使用不能の場合

エ 非常電源が設置されていないもの

注1 ベル停止、電源遮断等改修を伴わない維持管理違反については、二次措置として法第8条第4項による防火管理業務適正執行命令を発する。

注2 法第17条第2項の基準に違反し消防用設備等が設置・維持されていない場合も措置命令の対象となる。

【履行期限】

工事内容に応じて設定する。なお、工事日数については次を参考にする。

1 自動火災報知設備の設置工事における着工届から設置届までの日数調査の結果

全部未設置違反のうち設備を設置して改修されたもの100件について、着工届出から設置届出までの日数を調査した結果は、次のとおりであった。

・延面積500m2未満の対象物では、94%が2箇月以内

・延面積500m2以上1,000m2未満の対象物では、87%が3箇月以内

・延面積1,000m2以上の対象物では、95%が4箇月以内

2 業者が試算した工事日数例

(例1) RC造、地上3階地下1階、延べ面積500m2の既存雑居ビル(飲食店、カラオケ店)に消防用設備等を新規に設置する場合

(例2) RC造、地上5階地下1階、延べ面積1,000m2の既存雑居ビル(飲食店、カラオケ店)に消防用設備等を新規に設置する場合

(例3) RC造、地上10階地下1階、延べ面積3,000m2の既存雑居ビル(飲食店、カラオケ店)に消防用設備等を新規に設置する場合

 

 

 

 

 

 

 

見積り日数

着工届から設置届までの日数

 

屋内消火栓(例1)

30日

2箇月

屋内消火栓(例2)

30日

3箇月

屋内消火栓(例3)

40日

4箇月

スプリンクラー(例1)

30日

4箇月

スプリンクラー(例2)

30日

5箇月

スプリンクラー(例3)

40日

8箇月

自動火災報知設備(例1)

30日

2箇月

自動火災報知設備(例2)

30日

3箇月

自動火災報知設備(例3)

40日

5箇月

 

 

 

(例4) 耐火造、地上3階地下1階、建築面積約650m2、延面積1,800m2の既存遊技場ビル(パチンコ、カラオケ)全館に屋内消火栓設備を新規に設置する工事についての工事日は100日

備考 違反処理基準の運用

1 ①から④は、措置命令ごとに、⑤から⑧は、技術的基準に違反しているもので措置命令を発する場合を取り上げている。

2 「事例」欄は、違反処理すべき事案の基準となる事案として代表的な事例を示す。

3 履行期限が到来したものは、速やかに次の段階の措置へ移行する。

4 事象ごとに措置命令に係る規定の趣旨に照らして適切な措置を選択する必要があり、次の例を参考にして処理する。

(1) 階段の管理

【ケース1】 防火戸の維持管理不備

○ 防火戸をくさびで閉鎖できなくしているもの

・ 防火管理業務適正執行命令(参照基準⑤・2 法第8条第4項)

【ケース2】 階段での避難に支障となる物件の存置+通行可能

○ 階段の出入口に近接して椅子、テーブル等の物件が存置され通行可能なもの

・ 防火管理業務適正執行命令(参照基準⑤・2 法第8条第4項)

【ケース3】 階段での避難に支障となる物件の存置+通行不可

○ 階段に物件が存置されていることにより、一人でさえ通行することが困難なもの

・ 物件の除去命令(参照基準④・4 法第5条の3)

【ケース4】 階段での延焼媒体となる可燃物の存置

○ 階段室を倉庫代わりに使用し、古新聞、ダンボール、ビールケース等の大量の可燃物が存置されているもの

・ 物件の除去命令(参照基準④・3 法第5条の3)

【ケース5】 階段での延焼媒体となる可燃物の存置+竪穴区画の防火戸撤去+避難器具未設置

○ 小規模雑居ビルで階段内にビニール、プラスチック系の可燃物が大量にあり、上階の防火戸が撤去され、かつ、避難器具が設置されていないもの

・ 使用禁止命令等(参照基準③・2 法第5条の2)

(2) 火を使用する設備、器具等の管理

【ケース1】 条例の基準不適(管理)

○ 火気使用器具等の周囲の可燃材からの距離が基準値未満のもの

・ 防火管理業務適正執行命令(参照基準⑤・2 法第8条第4項)

【ケース2】 条例の基準不適(構造)

○ 厨房設備等の燃料配管に老化、劣化又は接続部のゆるみがあり、燃料漏れのおそれがあるもの

・ 改修命令(参照基準②・1 法第5条)

【ケース3】 火気設備等の使用に際し、火災の予防に危険であると認めるもの

○ 可燃性ガスが滞留する場所でガスコンロ等を使用しているもの

・ 使用の禁止(参照基準④・1 法第5条の3)

【ケース4】 炭化が発生しているもの

○ 火気使用設備の炎が壁体に接し、その部分が炭化しているもの

・ 使用の停止(参照基準④・1 法第5条の3)

○ 火気使用設備の使用に際して壁体等に炭化が広範囲に発生しており、その出火危険が著しく高いもの

・ 火気設備使用禁止命令(参照基準③・2 法第5条の2)

(3) 消防用設備等の維持管理

【ケース1】 点検未実施

○ 自動火災報知設備、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備又は2種類以上の設備の点検が実施されていないもの

・ 防火管理業務適正執行命令(参照基準⑤・2 法第8条第4項)

【ケース2】 未設置

○ 自動火災報知設備が階の全般に未設置のもの

・ 消防用設備等の設置命令(参照基準⑧ 法第17条の4第1項)

【ケース3】 消防用設備等が未設置であり他の法令違反が併存するもの

○ 階段が複数ある防火対象物の一の階段において、自動火災報知設備が未設置(未警戒)であり、一部防火戸が撤去されているもの

・ 防火戸の改修命令及び消防用設備等の設置命令(参照基準②・2及び⑧法第5条及び法第17条の4)

【ケース4】 消防用設備等が未設置であり他の法令違反が併存するもの

○ 百貨店において、自動火災報知設備が機能不良により大部分が未警戒となっており、階段の区画が全く機能しておらず、かつ、著しく定員を超えているもの

・ 使用禁止命令等(参照基準③・2 法第5条の2)

違反処理基準(危険物関係)

違反処理基準は、違反処理を厳正公平に実施するために、違反者等に対する警告、命令、許可の取消しへの移行基準及び履行期限の判断を具体的事例を挙げて示したものである。

なお、適用要件への該当性や履行期限の設定等については、下記を参考にしつつ、具体的な事例に応じ適切に判断する。

違反項目等

一次措置

二次措置

三次措置

事例、履行期限等

適用要件

措置内容

適用要件

措置内容

適用要件

措置内容

危険物の無許可貯蔵又は取扱い(法第10条第1項)

危険物の無許可貯蔵又は取扱いに関する違反のうち、次のいずれかに該当するもの

(1) 製造所等以外の場所で、指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱っているもの

(2) 製造所等において、当該貯蔵又は取扱いの態様を逸脱して、指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱っているもの

除去命令又は禁止命令(法第16条の6)

 

 

 

 

1 本欄は製造所等以外の場所で指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所のすべてを対象とする。

2 製造所等において当該貯蔵又は取扱いの態様を逸脱して指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱っているものの例として、次のような場合がある。

(1) 屋内貯蔵所の保有空地に指定数量以上の危険物を貯蔵しているもの

(2) 給油取扱所の敷地内に危険物をドラム缶で指定数量以上貯蔵しているもの

【履行期限】

・原則、即時

製造所等以外の場所で油圧装置、潤滑油循環装置等において、引火点が100℃以上の第4類の危険物のみを指定数量以上貯蔵し、又は取り扱っているもの

警告

警告事項不履行のもの

除去命令(法第16条の6)

 

 

製造所等における危険物の貯蔵又は取扱に関する基準違反(法第10条第3項)

製造所等における危険物の貯蔵又は取扱いについて、法第10条第3項の基準に違反しているもので、漏えい、飛散等により災害危険が著しく大きいもの

基準遵守命令(法第11条の5第1項、第2項)

基準遵守命令不履行のもの

使用停止命令(法第12条の2第2項第1号)

 

 

本欄は、実態の危険物を考慮し、警告により適切な行政指導を行った後、なお是正されない場合は、速やかに第二次措置に移行する。

【履行期限】

・原則、即時

製造所等における危険物の貯蔵又は取扱いについて、法第10条第3項の基準に違反しているもので、漏えい、飛散等があるもの又はそのおそれがあるもの

警告

警告事項不履行のもの

基準遵守命令(法第11条の5第1項、第2項)

基準遵守命令不履行のもの

使用停止命令(法第12条の2第2項第1号)

本欄に該当する事例としては、次のような場合がある。

(1) 移動タンク貯蔵所に係るもので次に示すもの

ア 特殊引火物、第一石油類及び第二石油類を移送又は取り扱っているもので、漏れ、あふれ、飛散等があるもの

イ 令第27条第6項第4号の規定に違反して危険物を取り扱っているもの

(2) 放電加工機を使用している一般取扱所において、放電加工油槽内の油量不足により放電の際、油が飛散しているもの又は火災が発生するおそれが大きい等のもの

【履行期限】

・改修、移転、除去その他必要な措置を行うために必要な合理的な期間とする。

法第11条第1項の規定による許可若しくは法第11条の4第1項の規定による届出に係る数量を超える危険物又はこれらの許可若しくは届出に係る品名以外の危険物を貯蔵し、又は取り扱っているもので、当該貯蔵又は取扱いにより製造所等の位置、構造又は設備の変更許可を要するもの

警告

警告事項不履行のもの

除去命令(法第11条の5第1項、第2項)

除去命令不履行のもの

使用停止命令(法第12条の2第2項第1号)

1 第三次措置は、基準遵守命令不履行のもので、火災等の災害発生危険が大きいもの

2 本欄は、災害発生危険のある基準違反を対象とするものであり、軽微な基準違反については必ずしも対象としない。ただし、軽微な基準違反が繰り返し行われているような場合には、本項に該当するものとして取り扱って支障ない。

3 本欄の「許可品名以外の貯蔵等」の違反については、当該違反によって適用される技術上の基準が異なる場合を対象とし、単に手続上の違反については、本項に基づく措置は行わず、当該変更に係る届出をさせることとしてさしつかえない。

【履行期限】

・改修、移転、除去その他必要な措置を行うために必要な合理的な期間とする。

製造所等の位置、構造又は設備の無許可変更(法第11条第1項)

製造所等の位置、構造又は設備を無許可で変更しているもの

警告

警告事項不履行のもの

使用停止命令(法第12条の2第1項第1号)

使用停止命令不履行のもの

許可の取消し(法第12条の2第1項第1号)

法第11条第1項違反に対しては、法的に法第12条の2第1項の使用停止命令又は許可の取消しのいずれかを選択して発動することが可能であるが、運用上、許可の取消しはこれ以外に火災等の災害の発生や拡大を防止する手段がないと認められる場合に行うことを原則とする。

【履行期限】

・変更許可手続、改修、移転、除去その他必要な措置を行うために必要な合理的な期間とする。

製造所等の完成検査前使用(法第11条第5項)

設置許可又は変更許可に係る完成検査合格前に使用しているもの

警告

警告事項不履行のもの

使用停止命令(法第12条の2第1項第2号)

使用停止命令不履行のもので法第10条第4項の基準に適合していないもの

許可の取消し(法第12条の2第1項第2号)

1 本欄については、違反内容に係る危険性に着目して、法第10条第4項の基準に適合しないもの又は災害等の発生危険若しくは拡大危険があるものを重点として運用する。

2 仮使用承認を受けているもので、使用停止命令を行う場合は、仮使用承認を撤回してから措置する。

【履行期限】

・原則、即時

製造所等の位置、構造又は設備に関する基準違反(法第12条第1項)

法第10条第4項の基準に適合しないもので、火災等の災害発生危険が著しく大きなもの

基準適合命令(法第12条第2項)

基準適合命令不履行

使用停止命令(法第12条の2第1項第3号)

使用停止命令不履行のもの

許可の取消し(法第12条の2第1項第3号)

1 本欄は、法第10条第4項の基準に不適合であり、火災等の災害発生危険が著しく大きい場合を対象とする。該当する事例としては、次のような場合がある。

(1) 配管に亀裂を生じ、現に危険物の漏えいが認められるもの

(2) 配管等の腐食が著しく、危険物の漏えいが切迫しているもの

(3) 屋外の貯蔵タンクの架台が著しく腐食し、又は変形しており、目前に転倒落下危険が認められるもの

2 過去に第二次措置を行った施設については、使用停止命令と同時に許可の取消しを検討する。

【履行期限】

・原則、即時

法第10条第4項の基準に適合しないもの(上棚の場合を除く。)

警告

警告事項不履行のもの

使用停止命令(法第12条の2第1項第3号)

使用停止命令不履行のもの

許可の取消し(法第12条の2第1項第3号)

本欄は、法第10条第4項の基準に不適合となったもので、違反内容が災害発生につながるおそれのある場合を対象とする。該当する事例としては、次のような場合がある。

(1) 防油堤に亀裂や破損があり、危険物が漏えいした場合、防油堤の外に流出するおそれがあるもの

(2) 危険物施設内の電気設備が損傷し、火花を発生するおそれがあるもの

【履行期限】

・改修、移転、除去その他必要な措置を行うために必要な合理的な期間とする。

製造所等の緊急使用停止等(法第12条の3)

製造所等又はその近隣において火災、爆発等の事故が発生したことにより、当該製造所等の使用が災害発生上極めて危険な状態であると認められるもの

使用停止命令又は使用制限命令(法第12条の3第1項)

 

 

 

 

本欄は、製造所等又はその周囲の状況が公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため緊急の必要がある場合に発動されるものであり、危険な状態となった原因が製造所等にあるか否かを問わない。

【履行期限】

・原則、即時

製造所等における危険物保安監督者の未選任(法第13条第1項、第3項)

危険物保安監督者を選任していないもの又は危険物保安監督者を選任しているが必要な保安監督業務が行われていないもの

警告

警告事項不履行のもので、当該違反状態が長期間継続するなど内容が悪質なもの

使用停止命令(法第12条の2第1項第4号)

 

 

1 危険物保安監督者の未選任について、資格者がいないため選任できない場合であると、資格者がいながら選任していない場合であるとを問わない。

2 保安監督業務不履行とは、危険物保安監督者を選任しているが、職制上の事由等から必要な監督業務を行い得ないもので、所有者、管理者又は占有者にその責めを帰するのが相当の場合である。

【履行期限】

・危険物施設における各権原ごとの危険物保安監督者の選任、指導状況を踏まえて、期限を設定する。

危険物取扱者の立会いなしに無資格者による危険物の取扱いが行われているもの

警告

 

 

 

 

無資格者による危険物の取扱いの繰り返しなど違反内容が悪質な場合、告発により対処することも考えられる。

【履行期限】

・危険物施設における危険物取扱者の選任を踏まえて、期限を設定する。

危険物保安監督者の法令違反等

危険物保安統括管理者又は危険物保安監督者が法律又は法律に基づく命令の規程に違反したことにより免状返納命令を受けたもの

解任命令(法第13条の24)

解任命令不履行のもの

使用停止命令(法第12条の2第1項第4号)

 

 

1 本欄における解任命令不履行の場合の使用停止命令は、災害等の発生危険があるもの又は災害が発生した場合、延焼拡大危険があるものを重点として運用する。

2 危険物保安統括管理者等に保安業務を引き続き行わせることが、公共の安全の維持又は災害発生防止上支障がある場合の例として、次のような場合がある。

(1) 保安監督業務を同時に履行し得ない2以上の施設で同一人が危険物保安監督者に選任されている場合

(2) 職制等の事情から保安監督業務を行い得ない場合

(3) 旅行、疾病その他の事由により、長時間その職務を行うことができない者

(4) 遵法精神が著しく欠如している場合

(5) 保安業務の不履行により災害を発生させた場合

また、危険物保安統括管理者等が保安統括管理者等業務を行わない事情が関係者側にあるか、当該危険物保安統括管理者等にあるかを問わず、現実に保安業務を行っていないことにより支障があれば、本件に該当する。

【履行期限】

・危険物施設における各権原ごとの危険物保安監督者の選任、指導状況を踏まえて、期限を設定する。

危険物保安統括管理者又は危険物保安監督者に保安業務を引き続き行わせることが、公共の安全の維持又は災害発生防止上支障があるもの

警告

警告事項不履行のもの

解任命令(法第13条の24)

解任命令不履行のもの

使用停止命令(法第12条の2第1項第4号)

予防規程未作成等(法第14条の2)

予防規程を作成していないもの

警告

 

 

 

 

予防規程未作成の状態が長期間継続するなど違反内容が悪質な場合、告発により対処することも考えられる。

【履行期限】

・危険物施設における予防規程の作成、指導状況を踏まえて、期限を設定する。

予防規程を定めているが、内容的に火災予防上適当でないもの

警告

警告事項不履行のもの

変更命令(法第14条の2第3項)

 

 

本欄に該当する事例としては、予防規程の内容が法第16条第3項に適合していない場合、認可された予防規程がその後の製造所等の状況に合わせて適切に変更されていない場合がある。

【履行期限】

・予防規程の内容、指導状況を踏まえて、期限を設定する。

特定屋外タンク貯蔵所等の保安検査未実施(法第14条の3第1項、第2項)

特定屋外タンク貯蔵所等又は移送取扱所に関する保安検査を受けていないもの

警告

法第10条第4項の基準に適合しないもので、火災等の災害発生危険があるもの

使用停止命令(法第12条の2第1項第4号)

使用停止命令不履行のもの

許可の取消し(法第12条の2第1項第4号)

【履行期限】

・保安検査、改修、移転、除去その他必要な措置を行うために必要で合理的な期間とする。

製造所等の定期点検未実施等(法第14条の3の2)

定期点検を未実施のもの

警告

警告事項不履行のもののうち、法第10条第4項の基準に違反し、火災等の災害危険があるもの

使用停止命令(法第12条の2第1項第5号)

使用停止命令不履行のもの

許可の取消し(法第12条の2第1項第5号)

 

製造所等の定期点検未実施等(法第14条の3の2)

点検記録を作成せず、虚偽の点検記録を作成し、又は点検記録を保存しなかったもの

警告

 

 

 

 

二次措置として、法第16条の5第1項に基づく報告徴収を行うことが適当なケースも存する。また、違反内容が悪質な場合、告発により対処することも考えられる。

【履行期限】

・原則、即時

危険物の運搬に関する基準違反(法第16条)

危険物の運搬基準に違反しているもの

警告

 

 

 

 

違反内容が悪質な場合、告発により対処することも考えられる。

【履行期限】

・改修、移転、除去その他必要な措置を行うために必要な合理的な期間とする。

移動タンク貯蔵所による危険物取扱者無乗車での移送(法第16条の2第1項)

移動タンク貯蔵所により、危険物取扱者を乗車させずに危険物の移送を行っているもの

警告

 

 

 

 

本項に該当する違反を覚知した場合は、告発を念頭に置いた調査を行う。

【履行期限】

・原則、即時

製造所等における事故発生時の応急措置未実施(法第16条の3第1項)

製造所等における流出事故等に際し、関係者が災害発生防止のため、危険物の流出及び拡散の防止、流出した危険物の除去その他の応急措置を講じていないもの

応急措置実施命令(法第16条の3第3項、第4項)

 

 

 

 

本欄は、応急措置がまったく行われていない場合のほか、当該事故における最善の措置がとられていない場合も該当する。

【履行期限】

・原則、即時

画像

画像

画像

画像画像

画像

画像

画像

画像

画像

画像

画像

画像

画像

画像

画像

画像

画像

画像

画像

画像

画像

三原市消防本部火災予防違反処理規程

平成17年3月22日 消防本部訓令第15号

(平成28年4月1日施行)

体系情報
第12編 防/第1章 消防本部・消防署/第3節 火災予防
沿革情報
平成17年3月22日 消防本部訓令第15号
平成17年7月1日 消防本部訓令第35号
平成28年3月18日 消防本部訓令第3号