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平成31年度施政方針

記事ID:0070200 更新日:2019年2月25日更新

 平成31年度施政方針(平成31年第2回市議会定例会)

施政方針を述べる天満市長

※ この施政方針は、平成31年第2回市議会定例会で市長が表明したものです。

復旧・復興を最優先課題に

 平成30年度を振り返りますと、本市にとっては、大変な苦難の一年となりました。7月の豪雨災害により、お亡くなりになられた方々とご遺族に対しまして、心から哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

 一方、多くの市民や本市出身者、また全国の方々から多大なご支援やご協力をいただきましたことに感謝申し上げます。本市におきましては、被災後、その対応に職員一丸となり取り組んできたところでありますが、いまだ道半ばであり、新年度は、復旧・復興を最優先課題として位置付け、多くの力を災害復旧に注ぐ1年となります。本市といたしましては、一日も早く元の姿を取り戻せるよう取り組んでまいりますので、議会並びに市民の皆様におかれましては、ご協力いただきますようお願い申し上げます。

 それでは、平成31年度の施政方針につきまして、まず本市を取り巻く状況についてであります。

 安倍首相は施政方針演説において、国の持続的成長にとって、「少子高齢化」が最大の課題であるとし、平成の30年間で出生率は1.57から1.26に落ち込み、高齢化率は10パーセントから30パーセントへと世界で最も速いスピードで進み、これまでの政策では対応できない「次元の異なる政策」が必要な時であると述べられました。

 国では、この対策として、「希望出生率1.8」の実現をめざすため、幼児教育や真に必要な子どもたちへの高等教育の無償化の取組、女性や障害者、高齢者など誰もが、次の時代に向けて活躍できる一億総活躍社会の取組、そして子どもから高齢者まで全世代が安心し支えられる社会をめざす「全世代型社会保障制度」への転換に取り組むこととされております。なお、このための安定的な財源確保が、本年10月からの消費税率引き上げであります。

 また、「成長戦略」として、人工知能やIoTなどのイノベーションを活用した第四次産業革命の取組と、そのためのプログラミング教育を始めとした人材育成、中小・小規模事業者への支援の実施、さらに、「地方創生」として、強い農業や観光立国、首都圏から地方への移住支援、災害に対する強靭なライフラインの整備などに取り組むこととされております。

 本市におきましても、「三原市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を定め、少子高齢対策などに対して総合的に取り組んでおりますが、統計的にも生産年齢人口が減少していくことは明らかで、厳しい状況ではありますが、こうした国の施策と連携を図りながら、着実に施策を展開する必要があります。

 次に、政府による経済見通しですが、消費税率引き上げが行われる一方、さまざまな経済対策を実施することで、雇用・所得環境の改善は続き、経済の好循環が更に進展し、景気回復するものと見込まれております。本市といたしましても、消費税率引き上げの対応は重要と考えており、平成30年度補正予算及び当初予算に、まずは、「プレミアム付商品券交付事業」を計上しておりますが、今後も国と連携し対策を行なってまいります。

 次に、本市の状況ですが、人口につきましては、住民基本台帳上、平成25年末には99,435人であった人口が、平成30年末には94,347人と5年で5,088人減少しており、合計特殊出生率は平成29年時点の期待する値として定めた1.73に対し1.36にとどまり、また、高齢化率は30.2パーセントから34.2パーセントに上昇しており、少子高齢化が加速している状況であります。このことは、将来の本市にとって生産年齢人口減少による市内経済の成長への影響を始め、税収減や地域を支える人材不足などの課題が発生することとなるため、総合戦略による人口減少対策に、さまざまな主体と力を合わせ取り組むとともに、創意工夫により、人口が減少する中でも、活力を失わないまちづくりに取り組む必要があります。

 次に、経済状況ですが、昨年12月の市内企業に対する景気観測調査によると、1年半ぶりに総合の景況感が上向きになり、有効求人倍率も1.79と高水準である一方、人材の不足も広がり、また災害の影響の残る事業者も未だにあり、こうした課題への対応にも取り組んでいく必要があります。

予算編成の基本的な方向性

 こうした状況を受け、平成31年度の予算編成において意識いたしました、基本的な方向性につきましては、次の3点であります。

 まず、1点目は、復旧・復興事業を最優先課題として、取り組むことであります。「被災者支援」、「インフラ災害復旧」、「災害廃棄物処理」、「産業支援」、「現地支援」の5つのプロジェクトチームにより、ソフト面では、被災者の生活再建を始めとした支援や被災企業・農業者への助成などの支援を行うとともに、ハード面では、農業用施設や道路、土砂撤去などの復旧について着実に推進してまいります。そのため、4月から農林施設及び土木施設の復旧を、一体的、効率的、効果的に進めるための組織として、災害復旧担当部署を設置いたします。

 次に2点目ですが、新年度は、「三原市長期総合計画 前期基本計画」と「総合戦略」の最終年度を迎えることから、目標としている指標の達成に向け、しっかりと取り組んでいくことであります。そして、この達成状況と検証、人口ビジョンの改定、市民意見の把握を行い、次の5年間を見据えた「後期基本計画」と次期「総合戦略」の策定に活かすことであります。
併せて、地域の医療や福祉、公共交通などの生活機能を確保することなど、生活維持対策を定める「定住自立圏形成方針」及び「共生ビジョン」を策定し、これら3つの計画の策定を通じて、将来に向けた市の取組を定めることとしております。

 3点目が、予算編成に伴う本市の財政についてであります。豪雨災害の発生による災害救助や災害援護、災害復旧に要する経費として、国の補助金や地方債などを可能な限り活用しておりますが、一部に市の負担が必要であるため、財政調整基金を取り崩して対応いたしました。今後も、普通交付税の合併算定替えによる減額は、平成32(2020)年度まで継続すること、公共施設の老朽化による維持管理経費が増大すること、また「新市建設計画」に位置付けたさまざまな都市基盤整備による公債費が増加することなど、厳しい状況が続くと予測されます。

 一方で、「新市建設計画」につきましては、新年度に見直しを行い、5年延長する考えでありますが、次の5年間で予定しているハード事業も一定の収束が見えてくるものと考えており、引き続き、安定した財源の確保と経費の削減や合理化に努め、健全な財政運営に取り組んでまいります。

 新年度は、こうした大きな方向性を持ちながら前期基本計画の最終年度として、将来の元気な三原実現に向け、「みはら元気創造プラン」で定める、本市の「活力づくり」と「安心づくり」の2本柱のもと、最少の経費で最大の効果を挙げるよう、予算編成したところであります。

重点的に取り組む「3つの挑戦」

 それではここから、平成31年度予算につきましてご説明いたしますが、まず、予算編成方針において、「5つの挑戦」のうち、特に重点的に取り組むこととした「3つの挑戦」についてご説明いたします。

働く場づくりへの挑戦

 まず、一つ目は「働く場づくりへの挑戦」です。

 若年層を中心とした人口流出防止や市外からの移住促進、市民が安心して住み続けるためには、働く場の確保が必要であります。 これまで、企業立地や既存企業の設備投資の促進、農林水産業の担い手育成と経営力向上、そして地場産業育成などに取り組んできたところ、新たな企業立地や農業参入企業の誘致などの成果が出てきている一方、引き続き、働き手の不足や販路の拡大、経営力向上など、働く場づくりへの対策が必要であります。

 このため、市内に立地を予定する企業や既存企業の円滑な操業に向け、雇用の確保や住宅対策、インフラ整備などのさまざまな課題に対応するため、私を本部長とする「三原市企業誘致促進本部」において、必要な事業実施の検討及び推進に努めてまいります。特に、本郷産業団地につきましては、県との連携のもと、加速度的な事業推進と早期分譲に取り組むとともに、アクセス道路となる県道の整備促進を図ってまいります。

 さらには、市内の産業団地において、今後、分譲用地の不足が予測されることから、沿岸部などの民間用地も含め、整備可能な用地確保について、県などと連携し取り組んでまいります。

 また、IT関連企業などのオフィス立地を支援する制度を創設し、大和地区のトライアルオフィスをきっかけとした誘致にも取り組んでまいります。 

 さらに、国としてめざす強い農業に向けては、「三原市農業振興ビジョン」を改定し、地域の特徴を活かした、次世代に引き継ぐことのできる持続可能な農業の確立をめざし、中心的な担い手の確保や農地集積を推進するとともに、引き続き、農業参入企業の誘致にも努めてまいります。 

 また、米粉用米などの生産拡大とともに、「6次産業化推進協議会」による第1次・2次・3次産業の連携により販路拡大を図り、生産者の所得安定と向上に取り組んでまいります。

 そして、農林水産業の基盤保全のため、有害鳥獣対策とともに県と連携した「備後・燧灘水産環境整備事業」に参画し、新たな増殖場の整備とニーズの高い魚種を放流することにより、産業の拡大に取り組むとともに、森林環境譲与税の創設をきっかけとした、森づくりの取組も検討してまいります。

 地場産業を支えるため、人材育成といたしましては、経営やマネジメントを学び実践する力を養う「浮城塾」の取組も継続してまいります。併せて、新規事業創出のための環境整備や空き店舗・事務所を対象とした新規出店支援とともに、既存店舗の経営支援や昼間のにぎわい創出支援などにも取り組んでまいります。

 また、ハローワークや県、経済団体などとの連携と、子育て・障害者自立支援などさまざまな施策間連携による、女性や障害者、高齢者などへの就業支援を通じて、全ての人に活躍の機会がつくれるよう努めてまいります。

子ども・子育て充実への挑戦

 次に、「子ども・子育て充実への挑戦」についてであります。

 本市では、男女の出会いから、結婚、妊娠、出産、子育て期に至るまでの切れ間のない支援や、安心して子育てできる環境づくりに取り組んでまいりましたが、平成31年度にめざしている出生率の期待する値1.8の実現には届かない状況が続いております。合計特殊出生率の向上に向けては、さまざまな要因があり、特効薬がないため、本市といたしましては、総合的な施策の展開により、子どもを生み育てたくなるまちとなるよう取り組むことが必要であります。

 このため、まず、妊娠を希望する夫婦に対する不妊治療費などの補助を継続するとともに、周産期医療や小児救急医療など、妊娠・出産のための医療サービスを確保してまいります。

 安心して子育てできる環境を整備するため、市内初となる私立幼稚園のこども園化を支援するなど、保育ニーズの高い3歳未満児の受け皿づくりを進めてまいります。また、3歳から5歳までの全ての子どもの幼児教育無償化につきましては、国と連携し取り組んでまいります。

 さらに、放課後児童クラブ対象年齢の拡大を推進するとともに、「子どもの生活に関する実態調査」の結果を踏まえ、新たな取組として、「子ども食堂」開設支援と「小児インフルエンザ予防接種」の補助など、子どもの貧困対策の実施、「子育て世代包括支援センターすくすく」において、切れ間のない相談支援と児童虐待の未然防止を推進してまいります。

 また、魅力ある教育として、「一校一貢献」を目標とする「わが校自慢支援事業」により、子どもたちの地域貢献の取組支援や、学校と企業が連携し、職場体験や特産品開発などに取り組む、「キャリア教育」を通じて、地域を知ることや郷土愛の醸成を図り、将来Uターンし、三原で働きたいと思う子どもの増加につなげてまいります。

住み良さ向上への挑戦

 三つ目の「住み良さ向上への挑戦」についてですが、市民や移住希望者に「三原に住みたい、住み続けたい」と思われるまちづくりに取り組み、社会減の抑制を図ることが必要であります。

 このため、まずは、災害に強いまちづくりが重要であり、7月豪雨災害への対応といたしまして、市が行う災害復旧事業3,303箇所のうち、平成31年度末までに3,127箇所、復旧率94.7パーセントの実施をめざし全力で取り組むとともに、被災者の孤立防止などのための見守り支援を行う「地域支え合いセンター」を運営してまいります。

 次に、災害に対するソフト面の取組といたしましては、豪雨災害の経験から災害時における地域の共助の重要性を啓発するとともに、自主防災組織に対し、組織力強化や訓練などの支援を積極的に行なってまいります。

 また、新たに県立広島大学と連携し、市民の避難行動調査を通じた要配慮者の避難方法の検討を行い、避難行動促進の仕組みづくりに取り組むとともに、同意確認など具体的な避難体制の充実にも努めてまいります。

 さらに、地域防災計画や各種マニュアルの見直しを行い、体制強化に取り組むとともに、コミュニティFMを活用して、市民に寄り添う、災害情報の提供に取り組んでまいります。

 ハード面の取組といたしましては、防災・減災、国土強靭化のための緊急対策を活用した橋梁耐震補強などに取り組み、市民の安全を確保してまいります。

 次に、住み続けたいと思う取組といたしましては、新たな本市の方針として、地域と行政が連携し地域運営を行う「地域経営方針」を3月に策定いたします。今後は、この方針に基づき取り組んでまいりますが、新年度では、まず、地区を定め、住民組織による「地域ビジョン」の策定を支援し、今後のモデルといたします。

 また、住民組織に対しましては、引き続き、必要な支援を実施するとともに、「三原市ボランティア・市民活動サポートセンター」の機能を拡充し、住民組織や市民団体などの連携や担い手の育成を強化してまいります。

 さらに、中山間地域におきましては、地域おこし協力隊や地域支援員の配置拡充などを通じ、住民組織の強化や地域の活性化を図ってまいります。

 交通につきましては、「第2次三原市地域公共交通網形成計画」を策定し、公共交通の利用促進や、交通体系強化に向けた新たな仕組みの導入検討などに取り組んでまいります。

 さらに、転入者増に向けては、若年層の移住者などに対する住宅取得や家賃支援の継続、移住希望者に本市の魅力を体験してもらうお試し暮らしの支援などを通じ、移住者の増加に積極的に取り組んでまいります。

「長期総合計画・みはら元気創造プラン」の基本目標に基づく取組方針

 次に、平成31年度に取り組む、そのほかの事業を「長期総合計画・みはら元気創造プラン」の基本目標に基づき、その方針を中心にご説明いたします。

基本目標1「新しい三原をつくる協働のまち」

 まず、基本目標1「新しい三原をつくる協働のまち」であります。

 「人権・男女共同参画」につきましては、今年度改定する「三原市人権教育・啓発推進計画」に基づき、市民一人ひとりが尊重され、自己実現が達成できる社会づくりをめざすとともに、女性活躍推進の環境づくりに向け取り組んでまいります。

基本目標2「地域の文化と多様な人材を育むまち」

 次に、基本目標2「地域の文化と多様な人材を育むまち」であります。

 まず、「教育」につきましては、平成32(2020)年度からの新学習指導要領に対応し、確かな学力、豊かな心、健全な体をバランスよく育成するため、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に取り組むとともに、組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図ってまいります。

 また、教育環境の充実のため、学校施設の改修を計画的に進め、幼稚園に空調機器を設置するとともに、平成32年(2020)上期の小中学校への一斉導入に向け、手続きを加速させてまいります。

 「生涯学習・文化・スポーツ」につきましては、地域拠点となる須波コミュニティセンターの移転工事に着手するとともに、平成32(2020)年の新図書館開館に向け、指定管理者に管理運営を移行し、併せて、蔵書整理など、準備も進めてまいります。

 市民を中心とした文化事業の活性化に向け、新たな文化芸術振興のあり方や組織について検討を開始するとともに、ポポロの持続的運用に向けた予防保全計画の策定に着手いたします。

 また、歴史・文化財を活かした取組として、「久井岩海」の活用や、「三原浅野氏入城400年展」の開催などを行います。
スポーツ振興計画の推進に向け、三原リージョンプラザの整備や、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けたメキシコ自転車チームの受入、ウエスタンリーグ開催支援などに取り組んでまいります。

基本目標3「多様な産業と多彩な交流による活力あるまち」

 次に、基本目標3「多様な産業と多彩な交流による活力あるまち」であります。

 「観光・交流」につきましては、新たな観光戦略プランに基づき、目標とする平成35(2023)年度に、「観光が本市を支える産業の柱のひとつ」となるよう、観光コンテンツの充実を図り、「観光客数」、「観光消費額」の増加をめざしてまいります。特に、新年度では、インバウンド観光を対象とした「体験メニュー」の開発や、観光関係団体を対象とした「おもてなしセミナー」の開催、また、市民を対象として「シビックプライド」の醸成を通じた、情報発信による「シティプロモーション」に積極的に取り組んでまいります。

 さらに、「宿泊消費額」の増加をめざし、宿泊施設のインバウンド対応や改修に対する助成制度創設により、受入環境の充実を図り、宿泊促進や滞在時間の延長に取り組んでまいります。

 本市の国際化に向けて、来月締結するパーマストン・ノース市との姉妹都市提携を通じて、「教育」、「文化・スポーツ」、「危機管理」などの分野で両市にとってメリットのある取組を推進するとともに、出入国管理法改正に対応し多文化共生の取組についても検討してまいります。

  「交流・連携基盤」につきましては、市内の幹線道路ネットワークの多重性を確保するため、木原道路の早期完成に向けた国への働きかけや、県と連携し県道整備を促進するとともに、都市計画道路の整備も推進し、快適で安全な道路網の形成を図ってまいります。

 市中心部につきましては、グランドデザインに向けた、にぎわいあるまちづくりをめざし、起業や拠点づくりなどを支援するとともに、将来の活用に向け、円一町庁舎を取得いたします。

 また、三原港が、にぎわいと回遊性をもつ拠点となるよう、整備方針の検討を進めるとともに、駅前東館跡地につきましては、工事着手と併せ、集客をにぎわいにつなげる取組として、エリアマネジメント協議会の設置に向けて取り組んでまいります。

基本目標4「健やかに暮らせる人に優しいまち」

 次に、基本目標4「健やかに暮らせる人に優しいまち」であります。

 「健康・医療」につきましては、「健康・食育みはらプラン」に基づき、幼少期からの食育やウオーキングの推進、健康診査やがん検診の受診機会拡充による健康管理の推進とともに、生活習慣病の発症や重症化の予防、介護予防について、医師会などとの連携・協働を進めるとともに、人材育成を通じた地域における健康づくりに取り組んでまいります。

 さらに近年、大きな課題となっているメンタル不調者の早期発見などの心の健康づくりや自殺対策の推進、また、骨髄提供者への支援や人工知能を活用した特定健康診査の受診勧奨など、市民のさまざまな健康づくりを応援してまいります。

 医師の不足や高齢化の課題につきましては、引き続き、医師会などとの連携を図り、地域医療における体制確保に取り組んでまいります。

 「福祉・介護」につきましては、地域包括ケアシステムのさらなる深化や推進に取り組み、高齢者が住みなれた地域で安心・安全に暮らせるよう、生活支援体制の整備と見守り機能の充実を図ってまいります。

 また、障害に関して正しい理解の周知と、障害のある人の自立や社会参加の促進に努めるとともに、新たに医療的ケアを必要とする在宅重症心身障害者を一時的に医療機関で受け入れ、介護者の負担軽減を図る取組を開始いたします。

 生活保護制度につきましては、適正実施と生活困窮者の自立に向けた支援を行うとともに、貧困連鎖の防止のため、中学生への学習支援を充実してまいります。

 国民健康保険事業につきましては、県と市町が連携し、医療費適正化に取り組むなど、安定的な制度運営と効率的な事業の推進を図り、介護保険事業につきましては、高齢者の自立支援、介護予防・重度化防止、給付の適正化などにより、持続可能な制度運営に努めてまいります。

基本目標5「安心して快適・安全に住み続けられるまち」

 次に、基本目標5「安心して快適・安全に住み続けられるまち」であります。

 災害に強いまちの構築をめざし、浸水被害を軽減する雨水排水施設の整備を実施し、併せて、防災・減災の強化を図るため、急傾斜地崩壊対策事業や河川整備などを推進してまいります。

 次に、「生活の安心安全」につきましては、救急艇の更新を行うとともに、市民に対する普通救命講習の普及啓発に取り組み、防犯活動・交通安全対策としては、引き続き、警察などの関係機関と連携した啓発活動や「通学路交通安全プログラム」に取り組んでまいります。

 「環境」につきましては、「第2次環境基本計画」に基づき、環境保全や地球温暖化の防止に取り組むとともに、循環型社会の形成に向け、「不燃物処理工場の更新」に取り組み、ごみの分別啓発と収集体系の見直しによる、ごみの減量化、再資源化を推進してまいります。

 新年度からの久井地域及び世羅町の「燃やすごみ」の受け入れに対しましては、安定的な処理を行うため、清掃工場の24時間運転を実施いたします。

 次に、「生活基盤」につきましては、引き続き「本町西国街道地区」の景観づくりやにぎわいづくりに向けて、地域住民とのワークショップを通じて作成する提案書を基に、「まちなみづくり基本方針」を策定いたします。

 また、良好な住環境の形成を図るため、東本通土地区画整理地内における整備を推進してまいります。

 さらに、豪雨災害により被災した水道施設の復旧事業を最優先として取り組む一方、水道事業経営戦略に基づいた老朽管などの更新にも取り組み、安全でおいしい水を供給するとともに、汚水の適正処理のため、下水道汚水管の整備を進めてまいります。

 空き家の課題に対しましては、「三原市空家等対策計画」に基づき、生活環境の保全と利活用の双方から取り組み、改善を進めてまいります。

「計画の実現に向けて」

 最後に、「計画の実現に向けて」であります。

 行財政改革の推進につきましては、行財政改革大綱に基づく5年間の実施計画の最終年度を迎えます。新年度では、目標に対する達成状況の検証とともに、新たに取り組むべき内容を精査し、実効性のある計画策定に取り組んでまいります。

 公共施設等マネジメントにつきましては、市民サービス維持の観点を持ちながらも、建物個々の果たす役割を整理し、質と量の観点から見直しを行い、床面積の削減を図ることが、将来の市民のためにも必要であります。このため、「施設類型別実施計画」に基づき、合意形成を図りながら、個別施設の再編を進めるとともに、ペアシティ三原西館の再編並びに久井支所の移転に取り組んでまいります。

 5月には新庁舎での業務を開始します。行政サービスの向上を市民の皆様に実感していただけるよう、あらゆる準備を遺漏なく進めてまいります。

 市民に対して市政情報を分かりやすく伝えることは、市政への参加につなげる上でも、重要であります。ホームページをリニューアルするとともに、広報誌や「FMみはら」の番組など、それぞれの媒体が持つ特性を活かし、平時や災害時に必要な情報を多様な手段で効果的に提供してまいります。

 こうした取組のため、平成31年度予算につきましては、一般会計予算は501億9,700万円とし、平成30年度と比較して25億1,900万円、5.3%の増となっております。

 予算規模といたしましては、本市として過去最大であり、増額の要因は、災害関連経費となっており、本市の将来像である「瀬戸内元気都市みはら」の実現に向け、災害対策を中心としながら、将来に向けて必要な取組についても配慮し、予算編成を行なったところであります。

 以上、私の考えと平成31年度予算における重点施策の概要について申し上げました。

「持続可能な魅力ある三原」に向けて

 昨年、未曾有の豪雨災害を受け、私たちが「安全だ」、「災害が起こることはないだろう」と思っていた「ふるさと」も、決して安心ではないということを思い知らされました。

 しかし、その後の復旧・復興において、市民や企業、そして社会福祉協議会を始めとするさまざまな団体と職員が協力し、苦難に立ち向かい、支え合う姿に対し、私は、三原市の力を改めて実感したとともに、やはり私たちのふるさとは、素晴らしいまちであると心から感じました。地理的にも気候的にも、そして交通インフラの面からも、素晴らしい環境を持つ本市が、立ち直れないはずはありません。

 今後、本市にとって、大変厳しい状況が続くと見込まれますが、一日も早い復旧・復興に向け、私自身が先頭に立ち、市民と一緒に職員一丸となって、取り組んでいく所存であります。

 また、復興と並行し、新年度は、長期総合計画や総合戦略、行財政改善実施計画など、平成32(2020)年度からのまちづくりの方針を明確にする重要な年でもあります。将来にわたり、「持続可能な魅力ある三原」を実現できるまちづくりに向けて、市民の意見を聴きながら取り組んでまいります。

 引き続き、全ての市民にとって、「住みたい、住み続けたい」と思える、また、未来を支える子どもたちが、「三原に帰りたい、三原で活躍したい」と思われるまちをめざしていくとともに、健全で効率的、そして持続可能な行政運営を行なっていくことが重要であり、全力で取り組んでまいります。


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