○三原市債権管理条例

平成29年12月22日

条例第39号

(目的)

第1条 この条例は、市の債権の管理について統一的な処理基準を定めることにより、債権管理の一層の適正化を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 市の債権 金銭の給付を目的とする市の権利をいう。

(2) 強制徴収公債権 市の債権のうち、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第231条の3第3項その他の法律の規定に基づき国税又は地方税の滞納処分の例により処分することができる債権をいう。

(3) 非強制徴収公債権 市の債権のうち、法第231条の3第1項に規定する歳入に係る債権で、強制徴収公債権以外のものをいう。

(4) 私債権 市の債権のうち、強制徴収公債権及び非強制徴収公債権以外の債権をいう。

(5) 非強制徴収債権 非強制徴収公債権及び私債権をいう。

(6) 市長等 市長及び公営企業管理者(公営企業管理者の権限を持つ市長を含む。)をいう。

(他の法令等との関係)

第3条 市の債権の管理については、法令、他の条例又はこれらに基づく規則(法第138条の4第2項に規定する規則その他の規程及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条に規定する企業管理規程を含む。次条において同じ。)に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。

(市長等の責務)

第4条 市長等は、法令、条例又はこれらに基づく規則の定めるところにより、市の債権の適正な管理及び事務処理を行わなければならない。

(台帳の整備)

第5条 市長等は、市の債権を適正に管理するために、規則に定める事項を記載した台帳(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られたものを含む。)を整備しなければならない。ただし、債権の性質上、特にその必要がないと認められるときは、この限りでない。

(督促)

第6条 市長等は、市の債権について、履行期限までに履行しない者があるときは、法令の定めるところにより、期限を指定してこれを督促しなければならない。

(公債権に係る延滞金)

第7条 市長等は、前条の規定により強制徴収公債権及び非強制徴収公債権に係る督促をした場合においては、当該債権の履行期限の翌日から履行の日までの期間の日数に応じ、三原市税条例(平成17年三原市条例第56号)の例によって計算する。

2 前項の延滞金の額を計算する場合において、その計算の基礎となる債権の額に1,000円未満の端数があるとき、又はその債権の額の全額が2,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。

3 第1項の規定により計算して得た延滞金の額に100円未満の端数があるとき、又はその全額が1,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。

4 第1項の延滞金の計算における年当たりの割合は、閏年の日を含む期間についても、365日当たりの割合とする。

5 市長等は、第1項の履行期限までに履行しなかったことについて規則で定めるやむを得ない事情があると認める場合は、同項の延滞金の全部又は一部を免除することができる。

(私債権に係る遅延損害金)

第8条 市長等は、第6条の規定により私債権に係る督促をした場合においては、履行期限の翌日から履行の日までの期間の日数に応じ、当該債権の額に当該債権の契約に定める割合(契約に定めのない場合は、民法(明治29年法律第89号)第404条に規定する法定利率)を乗じて計算した金額に相当する遅延損害金を当該債権の元本に加算して徴収する。

2 前条第2項から第4項までの規定は、前項の遅延損害金について準用する。

(相殺)

第9条 市長等は、履行遅滞の債務者に対して市が債務を有するときは、法令に特別の規定がある場合を除き、その履行遅滞となっている市の債権を市が有する債務と相殺することができる。

(滞納処分等)

第10条 市長等は、強制徴収公債権について、第6条の規定による督促を受けた者が同条の規定により指定した期限までに履行しないときは、滞納処分を行わなければならない。

2 市長等は、強制徴収公債権の滞納処分、徴収猶予、換価の猶予又は滞納処分の停止については、法令等の定めるところにより行わなければならない。

(強制執行等)

第11条 市長等は、非強制徴収債権について、第6条の規定による督促をした後相当の期間を経過してもなお履行されないときは、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。ただし、第14条に規定する徴収停止の措置を講じる場合、第15条の規定により履行期限を延長する場合その他特別の事情があると認める場合は、この限りでない。

(1) 担保の付されている非強制徴収債権(保証人の保証があるものを含む。)については、当該非強制徴収債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続を執り、又は保証人に対して履行を請求すること。

(2) 債務名義のある非強制徴収債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については、強制執行の手続を執ること。

(3) 前2号に該当しない非強制徴収債権(第1号に該当する非強制徴収債権で同号の措置を講じてなお履行されないものを含む。)については、訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求すること。

(履行期限の繰上げ)

第12条 市長等は、市の債権について履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし、第15条第1項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は、この限りでない。

(債権の申出等)

第13条 市長等は、市の債権について、債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において、市が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちに、そのための措置を講じなければならない。

2 前項に規定するもののほか、市長等は、市の債権を保全するため必要があると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め、又は仮差押え若しくは仮処分の手続を執る等必要な措置を講じなければならない。

(徴収停止)

第14条 市長等は、非強制徴収債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号のいずれかに該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び取立てをしないことができる。

(1) 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。

(2) 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。

(3) 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。

(履行延期の特約等)

第15条 市長等は、非強制徴収債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において、当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。

(1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。

(2) 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。

(3) 債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。

(4) 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る債権について、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。

(5) 貸付金に係る債権について、債務者が当該貸付金の使途に従って第三者に貸付けを行った場合において、当該第三者に対する貸付金に関し、第1号から第3号までのいずれかに該当する理由があることその他特別の事情により、当該第三者に対する貸付金の回収が著しく困難であるため、当該債務者がその債務の全部を一時に履行することが困難であるとき。

2 市長等は、履行期限後においても、前項の規定により履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合においては、既に発生した履行遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金(以下「損害賠償金等」という。)に係る市の債権は、徴収すべきものとする。

(免除)

第16条 市長等は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延長の特約又は処分をした非強制徴収債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約又は処分をした場合は、最初に履行延期の特約又は処分をした日)から10年を経過した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。

2 前項の規定は、前条第1項第5号に掲げる理由により履行延期の特約をした貸付金に係る債権で、同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基づいて当該履行延期の特約をしたものについて準用する。この場合における免除については、債務者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなければならない。

(債権の放棄)

第17条 市長等は、非強制徴収債権について、次の各号のいずれかに該当する場合は、当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等に係る債権を放棄することができる。

(1) 債務者が生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)の規定による保護を受け、又はこれに準ずる状態をいう。)にあり、資力の回復が困難で履行の見込みがないと認められるとき。

(2) 債務者が破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項、会社更生法(平成14年法律第154号)第204条第1項その他の法令の規定によりその責任を免れたとき。

(3) 第11条の規定により強制執行等又は第13条の規定により債権の申出等の措置を講じたにもかかわらず、なお完全に履行されなかった場合において、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資力の回復が困難で、履行の見込みがないと認められるとき。

(4) 第14条の規定による徴収停止の措置を講じた場合において、当該措置を講じた日から相当の期間を経過した後においても、なお履行させることが著しく困難又は不適当であると認められるとき。

(5) 債務者が死亡し、その債務について限定承認があった場合、相続人全員が相続放棄した場合又は相続人が明らかでない場合において、その相続財産の価額が、強制執行をした場合の費用並びに当該非強制徴収債権に優先して弁済を受ける市の債権及び市以外の者の権利の金額の合計額を超えないと見込まれるとき。

(6) 債務者が失踪、行方不明その他これに準ずる事情にあり、徴収の見込みがないとき。

(7) 私債権の時効期間が満了したにもかかわらず、債務者が時効を援用するかどうかの意思を示さないとき。

(報告)

第18条 市長等は、前条の規定により非強制徴収債権を放棄したときは、これを議会に報告しなければならない。

(委任)

第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。

(延滞金の割合の特例)

2 当分の間、第7条第1項に規定する三原市税条例の例によって計算する延滞金の割合は、同項の規定にかかわらず、各年の延滞金特例基準割合(平均貸付割合(租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第93条第2項に規定する平均貸付割合をいう。)に年1パーセントの割合を加算した割合をいう。以下同じ。)が年7.3パーセントの割合に満たない場合には、その年中においては、年14.6パーセントの割合(他の法令に定めがある場合においては、他の法令に定める割合)にあってはその年における延滞金特例基準割合に年7.3パーセントの割合を加算した割合とし、年7.3パーセントの割合にあっては当該延滞金特例基準割合に年1パーセントの割合を加算した割合(当該加算した割合が年7.3パーセントの割合を超える場合には、年7.3パーセントの割合)とする。

3 前項の規定の適用がある場合における延滞金の額の計算において、同項に規定する加算した割合(延滞金特例基準割合を除く。)が年0.1パーセント未満の割合であるときは、年0.1パーセントの割合とする。

(経過措置)

4 第7条及び第8条の規定は、この条例の施行日以後に発生する延滞金又は遅延損害金について適用し、同日前に発生した延滞金又は遅延損害金については、なお従前の例による。

(令和元年12月20日条例第28号)

(施行期日)

1 この条例は、令和2年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行日前に債務者が遅滞の責任を負った場合における遅延損害金を生ずべき債権に係る法定利率については、この条例による改正後の三原市債権管理条例第8条第1項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(令和2年12月24日条例第58号)

(施行期日)

1 この条例は、令和3年1月1日から施行する。

(延滞金に関する経過措置)

2 第1条から第7条までの規定は、令和3年1月1日以後の期間に対応する延滞金について適用し、同日前の期間に対応する延滞金については、なお従前の例による。

三原市債権管理条例

平成29年12月22日 条例第39号

(令和3年1月1日施行)