○三原市火災調査規程

平成17年3月22日

消防本部訓令第26号

目次

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 調査上の心得(第5条・第6条)

第3章 調査の実施(第7条―第8条の2)

第4章 現場保存(第9条―第12条)

第5章 実況見分(第13条―第17条)

第6章 質問(第18条―第24条)

第7章 資料提出(第25条・第26条)

第8章 鑑定(第27条―第29条)

第9章 原因の判定(第30条・第31条)

第10章 少年及び社会的配慮が必要な者に関する特則(第32条―第38条)

第11章 損害調査(第39条―第41条)

第12章 火災調査書類(第42条・第43条)

第13章 報告(第44条―第46条)

第14章 雑則(第47条―第52条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づいて実施する火災の原因及び損害の調査(以下「火災調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。

(調査の責任)

第2条 消防長は全管轄区域、消防署長は管轄区域で発生した火災調査の責任を有する。

2 消防長は、消防署長に対して、調査遂行上必要な指示を与えるものとする。

(火災調査員の指名及び担当区域)

第3条 消防長及び消防署長は、火災調査を実施するため、所属職員の中から調査員を指名し、火災調査に当たらせるものとする。

2 火災調査担当区域については、三原市消防行動基準(平成29年三原市消防本部訓令第9号)第6条第2項で定める出動区域出動計画表によるものとする。

3 消防長が指名した調査員(以下「本部調査員」という。)は、全管轄区域の火災調査に当たることができる。

4 消防署長により指名された調査員(以下「署調査員」という。)は、管轄区域内の火災調査に当たるものとする。

5 消防署長は、必要があると認めるときは、調査員以外の職員に命じて火災の調査を行わせることができる。

(調査の指揮)

第4条 火災現場における火災調査の指揮は、本部調査員にあっては予防課長が、署調査員にあっては消防署長が当たる。

第2章 調査上の心得

(調査の適確)

第5条 火災調査は、事実の立証を主眼とし、物的調査と人的調査とを併用して、科学的かつ合理的に判断しなければならない。

2 火災調査を行うに当たっては、調査方針を立てて行い、随時調査会議を開く等なるべく多くの者の意見を聴くよう努めなければならない。

3 火災調査に当たり、所轄警察署、海上保安本部及びその他の関係機関と緊密な連携を保ち、相互に協力して調査に当たらなければならない。

(調査の心得)

第6条 調査員は、法第34条第2項の規定を遵守するほか、常に火災現象及び関係法令の研究に努めて調査技術の改善、向上を図るとともに、社会の動向に留意し、調査能力の向上に努めなければならない。

2 調査員は、火災の原因及び損害の調査に必要な事項のみ調査することとし、関係者(法第2条第4項に規定する関係者をいう。以下同じ。)の民事紛争に関与し、個人の自由、権利を不当に侵害し、又は調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。

第3章 調査の実施

(調査の種別)

第7条 火災調査は、火災原因の調査(以下「原因調査」という。)並びに火災及び消火のために受けた損害の調査(以下「損害調査」という。)に分けて行うものとする。

(調査の着手)

第8条 消防署長は、管轄区域内の火災を覚知したときは、直ちに火災調査に着手しなければならない。

(調査員の要請)

第8条の2 消防署長は、次に掲げる火災に該当する場合で必要があると認めるときは、消防長に本部調査員の派遣を要請することができる。

(1) 火災・災害等即報要領(昭和59年10月15日付消防災第267号。以下「即報要領」という。)の火災等即報基準(以下「即報基準」という。)に該当する火災

(2) 特異な原因の火災

(3) その他の火災

2 消防長は、前項の規定にかかわらず特に必要があると認める火災については、本部調査員を派遣し、消防署長の行う火災調査に協力させるものとする。

第4章 現場保存

(消火活動中の現場保存)

第9条 消防隊の指揮者及び隊員は、出火点と認められる場所及びその付近(以下「出火場所」という。)の消火活動に当たっては、細心の注意をはらい、現場の保存に努めなければならない。

2 防御活動のため、やむを得ず出火場所付近の物件の移動又は破壊をしようとするときは、原状が分かるような必要な措置をとらなければならない。

(現場保存区域の設定)

第10条 消防署長は、火災調査のため必要があると認めるときは、火災現場の必要な範囲に限り、現場保存区域を設定するものとする。

(現場保存区域の監視)

第11条 消防署長は、前条により現場保存区域の監視をする必要があると認めるときは、所要の監視員を配置するものとする。

2 前項の規定により監視を命ぜられた者は、みだりに物件の移動又は原状を変更させてはならない。

(死者の取扱い)

第12条 消防署長は、火災現場において死者を発見したときは、直ちに消防長に報告するとともに所轄警察署長に通報し、必要な措置を講じなければならない。

第5章 実況見分

(実況見分)

第13条 調査員は、火災現場その他関係ある場所及び物件について詳細に実況見分を行い、調査資料の発見、入手に努めなければならない。

(火災前の状況把握)

第14条 実況見分を行うに当たっては、関係者又はその他関係ある者の説明を求め、当時の状況を明らかにして行わなければならない。

(出火出動時の見分調書)

第15条 最先着隊の指揮者は、出動途上及び現場到着時の燃焼並びにその推移の状況等を必要に応じ、別に定める出火出動時の見分調書により記載しておかなければならない。

(写真の撮影)

第16条 調査員は、見分内容を明らかにするため必要な写真を撮影しなければならない。

(実況見分調書)

第17条 調査員は、第13条の規定により実況見分をしたときは、別に定める実況見分調書により、そのてん末を記載しておかなければならない。

2 実況見分に際し、立会人に説明を求めた場合、特に必要と認めるときは、その供述内容を実況見分調書に記載することができる。

3 実況見分調書には、その内容を明らかにするため、図面及び別に定める実況見分調書継続紙に整理した写真を添付しなければならない。

第6章 質問

(質問の原則)

第18条 調査員は、法第32条の規定により火災調査をするため必要があるときは、関係ある者に対して質問することができる。

2 質問を行うに当たっては、強制的手段を避け、その場所及び時期などを考慮して、被質問者の任意の供述を得るようにしなければならない。

(誘導質問の排除)

第19条 質問を行うに当たっては、自己が期待し、又は希望する供述を被質問者に暗示するなど誘導してはならない。

(伝聞の排除)

第20条 質問は、直接経験した事実の供述を得るように努めなければならない。

2 被質問者の伝聞にわたる供述で重要な事案にかかわるときは、その事実を直接経験した者に対し、質問を行うよう努めなければならない。

(供述の矛盾)

第21条 質問を行うに当たっては、特に供述の矛盾又は変化に注意し、質問を行うように努めなければならない。

(質問調書)

第22条 質問により知り得た事項で調査上必要と認めるものは、別に定める質問調書により、録取しておかなければならない。

2 前項による質問調書は、被質問者に閲覧させ、又は読み聞かせて誤りのないことを確かめさせ、同人が調書の内容について増減変更の申立てをしたときは、その供述を調書に記載しておかなければならない。

3 被質問者が調書に誤りのないことを申し立てたときは、これに署名押印を求めておかなければならない。ただし、これを拒んだときは、この限りでない。

(通訳人の介助)

第23条 通訳人の介助を得て質問を行った場合は、通訳人を得て閲覧又は読み聞かせ、前条第3項のほか、通訳人の署名押印を求めておかなければならない。ただし、これを拒んだときは、この限りでない。

(質問聴取書等)

第24条 関係ある者に対する質問に当たって、原因調査に密接な関係がないもので、質問調書の必要がないと認められるときは、別に定める質問聴取書により録取し、又は関係のある者からその事実を任意に記載したてん末書を提出させることができる。

第7章 資料提出

(資料提出)

第25条 法第34条の規定により関係者に対して必要な資料の提出を命ずるときは、別に定める資料提出命令書によるものとする。ただし、軽易なものについては、口頭によることができる。

2 前項の規定により提出させ、又は任意に提出された資料は、別に定める資料提出書又は別に定める鑑定処分承諾書により、所有権放棄の有無を明らかにし、提出者が所有権を放棄しなかったときは、提出者に対して別に定める資料保管書を交付しなければならない。

3 提出資料を返還する場合は、資料保管書の受取又は還付資料受領書と引換えに返還しなければならない。

(官公署への照会)

第26条 消防長又は消防署長は、法第32条第2項の規定により関係のある官公署に対し、別に定める火災調査関係事項照会書により必要な事項の通報を求めることができる。

第8章 鑑定

(鑑定の嘱託)

第27条 消防署長は、調査のため必要があるときは、消防長に鑑定を依頼するものとする。

2 消防長は、特に必要があると認めるときは、官公署又は学識経験者に鑑定を嘱託することができる。

(鑑定の結果)

第27条の2 消防長は、前条第1項の依頼に基づき鑑定を行ったときは、その結果を消防署長に通知しなければならない。

(民間会社等への照会)

第27条の3 消防長又は消防署長は、火災原因となったと推定される器具等で火災調査のため必要がある場合は、製造業者等に意見を求めることができる。

(鑑定の承諾)

第28条 第25条第2項により資料保管書を交付した資料の鑑定を行うときは、提出者から鑑定処分承諾書を得て行わなければならない。ただし、鑑定処分承諾書を得た場合及び特に必要がないと認められるときは、この限りでない。

(鑑定嘱託書)

第29条 鑑定の嘱託は、別に定める鑑定嘱託書により行わなければならない。

第9章 原因の判定

(調査結果の検討)

第30条 原因調査を行った調査員は、実況見分、質問及び資料等により知り得た事実を総合して、火災原因を判定しなければならない。

(原因判定書)

第31条 前条により火災原因を判定したときは、必要に応じ別に定める火災原因判定書を作成しなければならない。

2 前項の火災原因判定書には、判定に至った経緯及び結果を系統的かつ明細に記載しなければならない。

第10章 少年及び社会的配慮が必要な者に関する特則

(準拠)

第32条 少年及び社会的配慮が必要な者が関係する火災調査については、他の法令等に定める場合を除くほか、この章の規定に基づき行わなければならない。

2 この章にいう少年とは、20歳未満の者をいう。

3 この章にいう社会的配慮が必要な者とは、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に定める身体障害者、知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)にいう知的障害者のうち18歳以上である者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に定める精神障害者のうち18歳以上である者で、かつ、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるため社会的配慮が必要な者をいう。

(処遇)

第33条 少年及び社会的配慮が必要な者が関係する火災調査を行うに当たっては、少年及び社会的配慮が必要な者の将来を考慮し、温情と理解をもってこれに当たらなければならない。

(少年及び社会的配慮が必要な者の立会い)

第34条 少年及び社会的配慮が必要な者を実況見分の立会人としてはならない。

(少年及び社会的配慮が必要な者の質問)

第35条 少年及び社会的配慮が必要な者に対する質問は、必ず立会人をおいて行わなければならない。

(署名押印)

第36条 調査書類には、少年及び社会的配慮が必要な者の署名押印を求めてはならない。

(特例)

第37条 前5条の規定にかかわらず、火災調査を行うために、特に必要があると認めるとき、又は年齢、心情その他諸般の事情を考慮して支障がないときは、一般の例により行うことができる。

(氏名告知の禁止)

第38条 少年及び社会的配慮が必要な者の関係する火災情報を、新聞その他の報道機関から求められた場合は、その少年及び社会的配慮が必要な者の氏名を告げ、又はその者を推知させるような方法を用いてはならない。

第11章 損害調査

(損害調査の対象)

第39条 損害調査は、火災報告取扱要領(平成6年4月21日消防災第100号。以下「取扱要領」という。)に基づき、次について行うものとする。

(1) 火元建物の焼損床面積及び焼損表面積

(2) 延焼建物の焼損床面積及び焼損表面積

(3) 焼損棟数及び損害棟数

(4) り災世帯及びり災人員

(5) 死者(30日死者を含む。)及び負傷者

(6) 林野の焼損面積

(7) 車両、船舶、航空機の焼損数及び損害数

(8) 損害額

2 前項第5号の規定により死傷者が発生したときは、別に定める火災による死者の調査表及び火災による負傷者の調査表を作成しなければならない。

3 損害額の算出は、取扱要領の損害額の区分及び算出方法並びに火災損害申告内容その他収集した確実な調査資料に基づき、時価により決定しなければならない。

4 損害の査定は、原則として別に定める損害査定書を用いるものとする。

(り災の報告)

第40条 消防署長は、損害額決定のための資料として、関係者から損害の程度について報告を求めるときは、法第34条第1項の規定により別に定める火災損害申告書を提出させるものとする。

(損害調書)

第41条 調査員は、損害調査結果を別に定める調書に基づき、作成しなければならない。

(1) 建物火災

り災棟別ごとに「り災建物損害調書」及びり災世帯ごとに「り災物件損害調書」

(2) 林野火災及びその他の火災

り災林野又はり災物件の所有区分ごとに「り災林野・その他の損害調書」

(3) 車両、船舶及び航空機火災

車両、船舶及び航空機ごとに「り災車両(自動車・鉄道)・船舶・航空機損害調書」

第12章 火災調査書類

(火災調査報告書)

第42条 火災調査書類は、この規定により作成した調査書類のうち、次に掲げるものを添付し、別に定める火災調査報告書を表紙として作成しなければならない。

(1) 火災原因判定書

(2) 出火出動時における見分調書(図面及び写真添付)

(3) 実況見分調書(図面及び写真添付)

(4) 質問調書

(5) 質問聴取書

(6) 参考資料

(7) 死傷者報告書

(8) 査察状況報告書

(9) 損害調書

(10) 損害査定書

(11) 火災損害申告書

(12) 鑑定書

(書類の省略及び併合)

第43条 重要な要素を含む火災を除き、焼損程度が比較的少ないものについては、火災調査書類の一部を省略することができる。

2 2以上の火災が相互に関連あるため、一括して処理することが適当と認めるときは、それらの火災の調査書類を合わせて作成することができる。

第13章 報告

(作成期間)

第44条 消防署長は、第8条の規定により火災調査を行ったときは、建物火災で焼損面積を生じたものにあっては、調査に着手した翌日から起算して60日以内に、当該火災以外の火災にあっては、30日以内に、火災調査書類を作成し消防長に報告しなければならない。ただし、消防長が特に認めるものについての報告は、この限りでない。

2 前項に定める期限は、鑑定、資料収集等を要するもので、消防長が特に必要と認めた場合は、この限りでない。

(火災即報)

第45条 消防署長は、火災の鎮火後、その概況を別に定める火災即報書を作成し速やかに消防長に報告しなければならない。

第46条 消防長は、遅滞なく取扱要領第1の8(報告の種類及び提出期限)の定めるところにより、火災四半期報告及び死者の調査表を広島県(担当部局)へ報告しなければならない。

第14章 雑則

(認定書の送付)

第47条 官公署から調査結果につき照会を受けたときは、別に定める認定書を送付することができる。

(謄本等の送付)

第48条 官公署から調査書類の送付を依頼されたときは、火災調査書類の謄(抄)本又は写しを送付することができる。

(火災の事後聞知)

第49条 関係のある者から火災があった旨、事後の通報があったときは、この訓令に準じて調査し、処理しなければならない。

(り災の証明)

第50条 消防署長は、関係者からり災証明の申請があったときは、その願出の範囲に限り火災調査の結果、確認又は立証し得る事項について、り災の届出のあったことの証明を別に定めるり災証明書により交付することができる。

(その他の事故等)

第51条 この訓令は、その他の事故等についても準用する。

(その他)

第52条 この訓令の実施に関し必要な事項は、消防長が別に定める。

この訓令は、平成17年3月22日から施行する。

(平成23年10月6日消本訓令第4号)

この訓令は、公布の日から施行する。

(平成25年1月10日消本訓令第1号)

この訓令は、公布の日から施行する。

(平成29年3月21日消本訓令第2号)

この訓令は、平成29年4月1日から施行する。

(令和3年1月25日消本訓令第1号)

この訓令は、令和3年4月1日から施行する。

三原市火災調査規程

平成17年3月22日 消防本部訓令第26号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第12編 防/第1章 消防本部・消防署/第4節
沿革情報
平成17年3月22日 消防本部訓令第26号
平成23年10月6日 消防本部訓令第4号
平成25年1月10日 消防本部訓令第1号
平成29年3月21日 消防本部訓令第2号
令和3年1月25日 消防本部訓令第1号